「ステムリム 再生医療と再生誘導医療 – Part.2-1 主要な幹細胞(間葉系幹細胞) –」ではタイトル通り再生医療と再生誘導医療で用いられる間葉系細胞について解説しました。
本記事では再生医療の雄として最も世間に認知されている幹細胞、iPS細胞(人工多能性幹細胞)について記事にしたいと思います。
iPS細胞は、採取した体細胞(皮膚など)に少数の因子(主に遺伝子)を導入し、培養することによって人工的に作成されます。
本来、分化の流れは「幹細胞 → 体細胞」が原則ですが、iPS細胞の作成は「幹細胞 → 体細胞 → 幹細胞(= iPS細胞)」の流れで行われます。
この「体細胞 → 幹細胞(= iPS細胞)」の流れをリプログラミングと呼び、リプログラミングを引き起こす物質を因子と呼んでいます。
そして、iPS細胞は人工的な万能細胞と呼ばれています。
これはiPS細胞が人体構成の起源である幹細胞であることから、作成したiPS細胞を必要な体細胞に分化させることが出来るからです。
例えば、自身の皮膚から神経細胞や心筋細胞を作成することが可能です。
また、上記からも分かる通り、iPS細胞による再生医療は基本的に移植による治療です。
間葉系幹細胞による再生医療が「人体の再生力を補完または活性化させる治療」に対して、iPS細胞による再生医療は「古いもの、無くなったものを新しいものに取り替える治療」といった形です。
移植治療では拒絶反応が一つの懸念点ですが、iPS細胞は自己の細胞により作成されるため、拒絶反応のリスクは他の移植治療に比べて非常に低いことがメリットです。
しかし反対に、iPS細胞は遺伝子組み換え(実際は遺伝子導入)により作成されているため、細胞の遺伝子が不安定です。
不安定な遺伝子は遺伝子変異を引き起こし、遺伝子変異を引き起こした細胞は癌細胞へと発展してしまいます。
参考までに、iPS細胞が遺伝子変異を引き起こした比較的新しい記事が毎日新聞より掲載されましたのでご紹介します。
<毎日新聞>
2020年1月8日「iPS細胞分化時に異常 がん化関連も 容器、機関で差」
そのため、将来有望な再生医療の手段として人工的な万能細胞であるiPS細胞は注目されていますが、iPS細胞から分化された組織・細胞は癌発症リスクが高く、治療法として確立されるまで多くの課題があるのが現状です。
<参考文献>
・iPS細胞の作成方法(京都大学 iPS細胞研究所)
・遺伝子変異と癌化(おしえて 癌ゲノム医療)
<調査銘柄の概要>
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