製薬・創薬業界『コロナウイルス感染症に対するレムデシビルの効果』

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<当記事は2020年5月1日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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The New England Journal of Medicine (NEJM) に掲載された論文「Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19」において、新型コロナウイルス感染症患者53人のうち36人(68%)に臨床的改善が認められたと発表されました。

この結果は世界中のメディアによって取り上げられた内容のため、同結果についてはSKメルマガの読者の皆様もご存知かと思います。

今回はその内容をより掘り下げ、新型コロナウイルス治療薬として最有力であるレムデシビルの効果について同論文内容を解説します。

患者数は上記において53人と記載しましたが、当初の予定では61人を対象としたものでした。

しかし、患者7人分の治療後のデータ取得に不備があり、1人に対しては投与エラーがありました。

よって同臨床試験では当初予定の61人から8人を差し引いた患者数53人を対象としています。

また同53人のうち30人(57%)の患者が人工呼吸器を装着し、4人(8%)がECMO(体外膜酸素化)を受けていました。

治療方法は10日間のレムデシビル投与です。また、投与量は初日のみ200mgであり、残りの9日間は100mgです。

図表1(result-Remd.png)は患者53人の経過です。

患者53人のうち、36人(68%)が改善を示したのに対し、8人(15 %)が悪化を示しました(「Change in Oxygen Support」項目_丸印_濃い水色:改善 薄い水色:変化なし 黒:悪化)。

棒グラフの色については図表右Oxygen Supportに区分が記載されています。

 

<Oxygen Supportの補足>
・茶色:ECMO
https://youtu.be/SkW2CTEMdHw

・濃い赤色:人工呼吸器(Mechanical ventilation)
https://youtu.be/Fhr0wzQj_JU

・赤色:非侵襲的陽圧換気法(NIPPV / NPPV)
https://youtu.be/hAD4bD23hIA

・オレンジ色:高流量酸素療法
https://youtu.be/8zqYBDkbWG8

・黄色:低流量酸素療法
https://youtu.be/gwGqDKNCm3o

 

「新型コロナウイルス感染症患者53人のうち36人(68%)に臨床的改善が認められた」と騒がれているレムデシビルですが、その文面とは裏腹に同治療結果を鵜呑みにするのは危険であると提唱する医療関係者も多く存在します。

その理由は図表1の治療経過から読み取ることが可能です。

図表1の棒グラフに対して垂直に引かれている黒線は、レムデシビルの最終投与日を示しています。

28日経過後ではなく、投与期間中における(投与期間中一度も悪化していない)改善者数で見てみると、その改善者数は24人(45%)となります。

さらに、ECMO・人工呼吸器群に絞ると、(投与期間中一度も悪化していない)改善者数は10人(29%)とさらに少なくなります。

対して、NIPPV以下の群では(投与期間中一度も悪化していない)改善者数は12人(63%)となります。

以上のことから、レムデシビルの投与期間中に対する改善効果を測った場合、アビガン同様に血中のウイルス量が比較的少ない感染初期の段階で投与することで、症状の悪化を防ぐことが出来る可能性があります。

よって新型コロナウイルス感染症の重症患者に対しては、レムデシビルの効果は限定的な可能性が大いに考えられます。

 

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