メディシノバの投資家様から当ブログへ「メディシノバは上場廃止危機に陥っておりますが、このまま導出なく廃止が決まってしまった場合、どのような株価推移になるとお考えでしょうか?(抜粋)」とお問い合わせ頂きました。メディシノバの全ての投資家にとって関心の高い内容なので今回はこの質問に答えさせて頂きます。
同社株の取引はNASDAQに比べJASDAQでの方で約1.7倍も多くされ、その割合は全体の63.1%を占めます(図表1,2)。そのため同社株のJASDAQ上場廃止が決まった場合、同市場での取引が不可能になり流動性が著しく低くなることが予想されます。


続いて流動性が低下すること、すなわち出来高が低下することがメディシノバの時価総額に負の影響を与えるかどうかを相関分析で分析します。それに合わせ発行株式数と経済の影響を考慮するため為替レート(JPY/USD)が時価総額にどの様に効いてくるかも合わせて行います。

「創薬ベンチャーの時価総額分析-Part 2 時価総額と財務項目の相関分析」において相関係数の有意性をt検定にて分析しました。
その結果を踏まえると図表3に示されている全ての相関係数は有意水準0.01=1%で有意です。そのため、出来高が低下すると時価総額も下がるという関係性が統計的に立証出来ます。
上記相関分析を行ったあと、メディシノバのNASDAQ時価総額がどの様な形で算出されているのかを検証します。
今回はJASDAQ上場廃止ケースにおけるメディシノバのNASDAQ時価総額に関するテクニカル分析の記事ですので、上記図表3に示されている経済状況(為替レート)、マーケットポテンシャル(発行株式数)、流動性(出来高)を分析する時価総額を説明する項目と仮定しました。分析方法は重回帰分析を用います。
重回帰分析では項目ごとの相関関係が大きい場合、お互いに影響を及ぼし合い分析精度が落ちる場合があります(多重共線性)。またそれを防ぐため相関関係が高い項目のいずれかを排除することで解決が出来ますが、今回の分析では項目ごとのデータ数が3,262と大変多いため排除する項目があるかどうかをVIF値によって判断します。

VIF値による多重共線性の有無の基準は一般的には10以上と言われています。しかし上記にもある通り、データ量の観点から本記事では基準値を4と設定します。これにより、多重共線性の影響をほとんど取り除くことが可能です。
結果としてNASDAQ時価総額を説明する項目として適切なものは、為替レート(JPY/USD)、発行済株式、JASDAQ出来高、NASDAQ出来高の4つ全てとなります。それら項目によりNASDAQ時価総額を重回帰分析により算出すると下記図表5の統計値が結果が得られます。

本記事では有意水準0.01を基準にしているため上記統計値も同水準で判定します。有意性のある項目のみを抽出しメディシノバのNASDAQ市場における時価総額を表現すると以下式になります。また、それを視覚化したものが図表6です。
・NASDAQでのメディシノバ時価総額
= 発行株式数 ×(1,035 ± 14) + JASDAQ出来高 ×(4,717 ± 650)+ 為替レート(JPY/USD)×(101,000,000 ± 10,270,000)+(-20,160,000,000 ± 948,300,000)

以上より、質問「メディシノバは上場廃止危機に陥っておりますが、このまま導出なく廃止が決まってしまった場合、どのような株価推移になるとお考えでしょうか?(抜粋)」に対する回答として、「メディシノバのJASDAQ上場廃止が決まった場合、32,698,320,179円~38,053,463,091円(1株あたり759円~883円)に落ち込む」と推測されます。
しかし現在の同社株の取引はJASDAQ主導のため、これが上場廃止によりNASDAQ主導に置き換わった場合は予想がつきません。上記推定値はあくまで現在の上場廃止リスクによるボトム値として参考にして頂けると幸いです。
<調査銘柄の概要>
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