米国に上場している企業に対して、米国証券取引委員会(SEC)は必要に応じてSEC Filingの提出を義務付けています。
今回はSEC Filingのストックオプションに関するご質問を頂きました。
<質問(抜粋・一部修正あり)>
SKさん、はじめまして。毎日楽しみに読ませてもらってます。
今日1月17日(金曜)に某掲示板で社長の岩城さんが412500株のストック・オプション行使をしたとかしてないとか騒がれてました。
1. On January 15, 2019, the reporting person was granted an option to purchase 550,000 shares of common stock. The option vests based on MNOV’s satisfaction of certain performance criteria for the fiscal
year ended December 31, 2019. The performance criterial for 2019 were achieved at the 75% attainment level, resulting in vesting of the option as to 412,500 shares
本当のところはどうなんでしょうか?
<回答>
提示して頂いた文面(英文)は、岩城社長に対するストックオプションに関して、メディシノバが2020年1月9日にSECに提出した書類(SEC Filing Form 4)に記載されているものです。
同内容はストックオプションの権利行使ではなく、2019年1月15日に付与されたストックオプション(岩城社長:550,000株 価格:$9.67)が1年間の従事によりストックオプションの権利が確定したものです。
しかし、2019年の業務達成目標の兼ね合いで付与された550,000株の内、実際に発行されたのは412,500株分となりました。
米国の制度と日本の制度は異なるため、ストックオプションに関するSEC Filing(Form 4)の読み方を簡単に解説します。
該当する企業(ここではメディシノバ)は、メディシノバに関わる主要人物(取締役員や執行役員)をSECに登録する必要があります。
そして、その主要人物によるメディシノバ株取引の(大小問わず)全てをSECに書類Form 4として報告する義務があります。
この株取引にはストックオプションやワラントの権利獲得や、それに伴う株式の売買なども含まれます。
ちなみに、岩城社長のレコードはコチラから取得できます(岩城社長は代表取締役社長のため、Form 4以外のFormも含まれています)。
続いて、ストックオプションを獲得した場合はどのようにSECに報告されるかを解説します。
図表1は今回のご質問に該当するForm 4であり、ストックオプションの獲得が確定した場合はTable Ⅱに記載されます。
図表1の紫枠から、岩城社長は「2020年1月9日から2029年1月14日の期間中に単価$9.67で412,500株のメディシノバ普通株を購入する権利を費用$0で獲得した」という報告内容が読み取れます。
一般取引やストックオプションやワラントの行使などによる株式の取得はTABLE Ⅰ(青枠)に記載があります。
そしてストックオプション行使による株式の取得の場合、TABLE Ⅱに該当するストックオプションの内容が記載されます(ワラント行使の場合も同様に記載される)。
図表2からは、「2018年1月6日で行使期限を迎える単価$4.42の53,363株分のストックオプションを、2018年1月3日に単価$4.42の53,363株分全てを行使した」と読み取れます。
図表2の例では53,363株全てを行使していますが、全て行使する必要はもちろんありません。
以上、ストックオプションに関するSEC Filingを中心に解説しました。
お役に立てたなら幸いです。
<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com
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