メディシノバ  ALS/MND国際シンポジウムにおけるALSに対するMN-166(イブジラスト)のデータ解析発表

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2019年12月5日にメディシノバから公表された「第30回ALS/MND国際シンポジウムにおけるMN-166のALSを適応とする臨床治験に関してさらなるデータ解析結果発表のお知らせ」についてメディシノバの岩城社長が以下のようにコメントを寄せています。

<岩城社長のコメント(抜粋)>

「既に完了していた ALS の第 2 相臨床試験のデータの更なる分析で、興味深い結果が得られたことを非常に嬉しく思います。この分析結果は、すでに第 3 相試験のデザインに組み込まれています。発症 18 か月未満の ALS 患者さんをターゲットにすることにより、第 3 相試験の成功の可能性がはるかに高くなると考えています。」

 

本記事では今回のデータ解析結果について岩城社長がなぜ「発症 18 か月未満の ALS 患者さんをターゲットにすることにより、第 3 相試験の成功の可能性がはるかに高くなる」と考えているのかを、統計学の観点から解説しようと思います。

 

<ハイライト>
1.ステップワイズ法による重回帰分析により、ALS 病歴が治療効果に影響する統計的に有意な要因であることが特定された(p = 0.015)。

2.治験参加時の ALS 病歴が 600 日未満(ALS の病歴が短い)の患者に注目すると、有意な負の相関(-0.72、p <0.01)が観察されたが、ALS 病歴が 600 日以上(ALS の病歴が長い)の患者では認められなかった。

3.プラセボ群では、ALS病歴とALSの病状進行との間に有意な正の相関(0.63、p <0.05)が観察された。リルゾール治療のみでは、病歴の短い患者ほど、病状が悪化が早いことが観察された。MN-166 治療群では、プラセボ群で見られた ALS 病歴と ALS の病状進行の間の有意な相関関係がみられなくなった。

 

<解説1>

「ステップワイズ法による重回帰分析により、ALS 病歴が治療効果に影響する統計的に有意な要因であることが特定された(p = 0.015)。」

ステップワイズ法による重回帰分析は、より精度の高い結果が得られる重回帰分析と理解して構いません。

ALS病歴が治療効果に影響することはメディシノバの株主様なら何となく想像がついていたと思います。そして想像通り統計学的にもALS病歴が治療効果に影響するという結果が出ました。

 

<解説2>

「治験参加時の ALS 病歴が 600 日未満(ALS の病歴が短い)の患者に注目すると、有意な負の相関(-0.72、p <0.01)が観察されたが、ALS 病歴が 600 日以上(ALS の病歴が長い)の患者では認められなかった。」

ALSは進行度に合わせて4つのステージがあります(初期・中期・後期と3つのステージに分けている場合もある)。

メディシノバが600日をベースラインとした理由は、ALSステージの前期(ステージ1,2)と後期(ステージ3,4)に区分し解析を行うためと推測出来ます(これは田辺三菱製薬が実施したRilutekのALS適応に対する過去の治験結果からも推測出来ます)。

(図表1:ALSのステージ 作成:SKブログ)

さらにALS評価指標のALSFRS-R(ALS Functional Rating Scale-R)は主に身体機能的評価(48点満点)を測定するための指標です。

ステージ1,2の症状がALSFRS-Rスコアの6~8割を占めているため、ALS病歴が600日未満(= ALSステージ1,2)の患者において統計学的に有意に病状が進行すること(= ALSステージ1,2患者は皆病状が進行する)は極めて整合性のある結果となりました。

また、600日以上(= ALSステージ3,4)の患者においては病状の進行がまばら(= 病状が進行する患者もいれば進行しない患者もいる)であることも示唆され、統計学的に有意な結果を取りに行く治験対象としてエンロールするには不適切な属性と言えます。

 

<解説3>

「プラセボ群では、ALS病歴とALSの病状進行との間に有意な正の相関(0.63、p <0.05)が観察された。リルゾール治療のみでは、病歴の短い患者ほど、病状が悪化が早いことが観察された。MN-166 治療群では、プラセボ群で見られた ALS 病歴と ALS の病状進行の間の有意な相関関係がみられなくなった。」

この文面は2018年7月10日に公表された「MN-166 の ALS(筋萎縮性側索硬化症)を適応とする臨床治験でのサブグループ解析データ発表のお知らせ 」 の内容を言葉を変えて記述しているだけです。

このことを一言で述べるのであれば、「MN-166を投与されたALS患者は薬が効いている者もいるが、Riluzole(プラセボ群)を投与されているALS患者では統計学的に薬が効いている者はいない」と表現することが妥当でしょう。

ここで注意すべきはサブグループ解析データにおいては統計学的にMN-166もプラセボ群も治療効果を発揮していないことです。

(図表2:ALS治験のMN-166とプラセボ群の解析結果 作成:SKブログ)

以上より、今回の発表に対する私の印象は目新しいことは特にありませんでした。

メディシノバの多くの株主は今回の発表に対してMN-166のALSフェーズ2b/3治験の成功がどの程度のものかを示唆する情報を求めていたことと思います。

今回のデータ解析の発表が良い機会となりましたので、次回は今まで得られたデータを参考に、MN-166のALSフェーズ2b/3治験の成功の可否に関する見解を記事にまとめようと思います。

是非ご覧ください。

 

<参考文献>
ALSのステージ(The 4 Stages of ALS- Lou Gehrig ’s Disease)
Radicavaの日本での治験データ(KEGG 医薬品情報)
Rilutekの治験データ(Stage at which riluzole treatment prolongs survival in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a retrospective analysis of data from a dose-ranging study)
MN-166の治験データ(MN-166のALSを適応とする臨床治験でのサブグループ解析データ発表のお知らせ)

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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