<投資家Q&A-034>ステムリム 表皮水疱症フェーズ2治験結果を受けた脳梗塞治験の成功可能性

2020年1月14日に公表された「栄養障害型表皮水疱症を対象とした骨髄間葉系幹細胞動員医薬 KOI2(HMGB1 ペプチド)臨床試験(第 II 相医師主導治験)のデータ解析結果の速報について」を受けて、HMGB1ペプチドの脳梗塞を適応とする治験に対するご質問を頂きました。

 

<質問(一部抜粋)>

本日、表皮水泡症の臨床試験第2相のデータ解析の結果、統計学的に有意な改善が公表され、また長期持続性と安全性についても確認されました。

今回、「再生誘導医薬」の作用メカニズムが臨床レベルで初めて確認され、有効性・安全性が示された意義は非常に大きいと考えます。

「再生誘導医薬」は、遺伝子を導入するiPS細胞より極めて低価格で提供可能、手術が不要で低侵襲、がん化するリスクも小さいため、実用化すれば再生医療の主役に躍り出る可能性があるとされています。

会社ホームページによると、脳梗塞、変形性膝関節症、アトピー性皮膚炎など複数のブロックバスターを含む、20を超える広大な疾患への適応拡期待されています。

そこでお伺いしたいのですが、今回の表皮水法相の良好な臨床結果を以て、現在実施中の脳梗塞の臨床第2相の成功確率は上がったとみてよろしいのでしょうか?

 

<回答>

ステムリムのHMGB1ペプチドによる栄養障害型表皮水疱症を適応とするフェーズ2治験の統計的に有意な結果は、9名という極めて少数の患者を対象としたことを考慮すると非常に強力な結果と言えます(なぜ強力かは下記<補足>をご参照下さい)。

しかし、その結果が脳梗塞の治験に対しても強力と言う訳ではありません。

HMGB1による表皮水疱症の治療メカニズムは、間葉系幹細胞の主に組織再生能力の働きによるものです。

それに対して現在進行中の脳梗塞治験に関しては、間葉系幹細胞の主に線維化調節能力に起因するメカニズム効果を期待しています。

以上より、今回の表皮水疱症の良好な結果が脳梗塞の治験に対する成功確率に影響することはありません。

その理由としては、治療メカニズムが表皮水疱症に対するものと、脳梗塞に対するものが異なるからです。

 

<補足>

P値は簡単に説明すると「期待している事象が起こらない確率」です。

創薬治験において、治験薬がプラセボ(偽薬)と比較して治療効果が認められた(P値=0.01=1%)という結果が得られた場合、1%の確率で治療薬がプラセボと比較して治療効果が認められない事象が起こります(逆説的に99%の確率で治療効果が認められる→ほとんどの患者に対して治療効果を発揮する)。

さらに、得られた結果が統計的に十分に信頼を置けるかどうかの基準を有意水準といいます。

この水準は分析内容に合わせて初期に設定するものです。

創薬治験では基本的には有意水準を0.05(5%)と設定していて、P値が0.05を下回った場合に限り、得られた治験結果を統計的に信頼の置ける数値として用いることが出来ます。

上記を踏まえ、相関係数の有意水準を0.01、0.05、0.10(1%、5%、10%)と3つ設定し、それぞれの水準とデータ数とで相関係数の基準を算出していきます。その際用いる検定手法はt検定です。

(図表1:相関係数と有意水準 n=100 作成:SKブログ)
(図表2:相関係数と有意水準 n=1,000 作成:SKブログ)

図表1,2は統計ソフトRにおいて有意水準を満たす相関係数をデータ数ごとに算出しプロットしたものです。

図表1は本記事の分析において見やすいようにデータ数の上限を100にしたものです。

図表2はデータ数の上限を1,000としました。

0.2~0.7で相関関係が認められるという一般向けの情報を上記図表に照らし合わせると、その意味するところは有意水準0.01の条件下でデータ数10~200の場合に限るということになります。

しかし実際はデータ数によって相関関係が認められる相関係数は変わってくることに注意が必要です。

ステムリムの表皮水疱症治験によるデータ数9でP値 = 0.05を達成する場合は、相関係数において0.67以上という数値を出す必要があります。

相関係数 = 0.67は統計学の世界では非常に大きな数値のため、本記事において非常に強力な結果と述べました。

 

<調査銘柄の概要>
4599 : ステムリム
住所 : 大阪府茨木市彩都あさぎ7丁目7-15 彩都バイオインキュベータ3階
電話番号 : 072-648-7152(非通知発信は接続不可)
HP : https://stemrim.com/

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