メディシノバ『グローバル製薬会社への道(前編:MN-166 / MN-001の開発状況と問題点)』

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<当記事は2020年7月26日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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2020年7月も終わりに近づき、当メルマガのご購読者をはじめとするメディシノバ株主様は同社の事業進捗に対してやきもきとした時間を過ごしていることでしょう。

今回のメルマガではメディシノバの開発に関する現状把握について解説致します。

先ずは図表1をご参考下さい。

(図表1.MN-166 / MN-001の開発状況と推定導出額価値 作成:SKメルマガ)

2020年7月26日現在、メディシノバは2つの主力製品および11本のパイプライン(クラッベ病を除く)を保有しています。

各パイプラインの概要を述べます。

無再発SPMSは導出交渉の遅延により長期間の開発停滞が続いています。

図表1では競合承認薬としてロシュ社のオクレバスを上げていますが、無再発SPMSを主要適応とする承認薬は存在しないことや、一次性PMS含むPMSの大部分がやがて無再発SPMSに進むことを考えると、全世界での売上高ベースの機会損出は少なくとも年間80億ドルが見込まれます。

株価低迷のため新株発行による十分な資金調達が難しいことや、導出交渉がなかなか思うように進まない現状を鑑みると開発停滞は一応の理解が出来ますが、あまりに大きな機会損失には憤りを隠せません。

ALSは米国FDAと欧州EMAとの両方から承認を得るためのプロトコル修正に非常に時間がかかりましたが、2020年5月28日についにMayo Clinicでエンロールが開始されました。

背景には田辺三菱製薬がラジカヴァ(静脈注射型)のEMA承認申請を取り下げたことがあげられます。

ラジカヴァはもともとFDA向けの承認プロトコルで治験を行った経緯があるため、本来であれば同治験結果を基にEMAから承認を得ることは難しいと言われていました。

しかし、ALSが難病であり希少疾患であることから同社はEMAから承認を得ることが可能と考えていました。

その目論見は外れ、ラジカヴァ(静脈注射型)の承認申請を取り下げる形となりました。

同承認申請が問題無く進んでいれば、メディシノバもFDA向けの既存プロトコル修正は行っておらず、既にそれなりの進捗を見せていたはずです。

なお、田辺三菱製薬は経口型のラジカヴァを現在開発中であり(フェーズ3)、そのプロトコルはEMAの指針にも準拠したものとなっています。

米国とオーストラリアでは行政機関や大学と連携を取って開発を進めているメディシノバですが、DCMの開発を通じて英国の行政機関と初めての連携を取ることが出来ました。

2018年8月にDCM治療薬の開発開始が報じられてから実際にフェーズ3の治験が開始されるまでは約一年半の時間がかかりました。

米国同様に英国行政機関を交えた開発は非常に時間がかかることでしょう。

MN-166のパイプラインの中で軽視されているものが2つあり、それがクラッベ病とCIPNです。

クラッベ病に対する希少小児疾患治療薬候補として指定されたMN-166は承認を受けた場合、別の製品に使うことができる優先審査権利バウチャーがメディシノバに付与されます。

同バウチャーは売買可能であり、数百万ドルの値を付けることもあります。

しかし、メディシノバにとってはそれ以上でもそれ以下でもなく、時間と予算に余裕があれば開発を進めるでしょうが、医薬品の特徴が低分子化合物に対して顕著なバイオ医薬品の台頭もあり、今の所バウチャーを得るために開発を進める意志はメディシノバにはありません。

CIPNに至ってはメディシノバの理念である「十分な治療がまだ確立していない疾病を患う世界中の患者さんに、よりよい治療を提供することにより社会に貢献すること。」を十分に満たしていない様に思えます。

CIPNにはメコバラミンが治療薬として用いられていますが、その投与量は0.5mgと非常に少なく、MN-166と同じく神経保護作用のあるメコバラミンの特性を活かしきれているかは疑問です(メコバラミンは高用量50mgでも安全性が確立されている)。

薬剤誘発性頭痛の開発で治験結果の共有に関して揉めたオーストラリアのアデレード大学と同じように、「声を掛けられリスクが低いため薬剤の提供のみを行う」といった形であると思われます。

薬物・嗜好品依存症の3つのパイプライン(メタンフェタミン・オピオイド・アルコール)の治療作用は全て脳炎抑制です。

グリア細胞の活性化抑制が治療作用とも言えますが、現在行われているメタンフェタミンのフェーズ2a治験やアルコールのフェーズ2a/2b治験において「グリア細胞の活性化」ではなく、「脳の炎症」を見ていることから治療作用を「脳炎抑制」としています。

上記3つの薬物・嗜好品は依存の強さや作用が異なりますが、性質としては非常に似ているため、2015年12月にフェーズ2aを完了したオピオイドの開発をストップしています。

メタンフェタミンとアルコールの治験により脳炎抑制作用が認められればオピオイドの開発を再開すると考えています。

その際は3つのパイプラインがフェーズ3へと進むことになりますが、MN-166の弱点でもある「一発の効果の小ささ」が依存症治療に適しているのかが不安材料となります。

Covid-19由来のARDS治療薬を開発することを決断した経営陣に対しては賛辞を送りますが、開発の仕方がやはりと言うべきか、イェール大学との共同開発となりました。

資金難であることから共同開発は致し方ない選択ですが、案の定フェーズ2a治験を一年も掛けて行うスピード感が不足したプロトコルとなってしまいました。

Covid-19感染症に対する危機が一向に収まることを知らない現状を考えると、非常に残念なことです。

FDAによる緊急使用許可(EUA:Emergency Use Authorization)によって早期上市が可能性として残りますが、EUAを受けた医薬品は現在3つ(ヒドロキシクロロキン硫酸塩およびクロロキンリン酸塩はEUAの取消しを受けた)であることや、それらが多大なデータによる検証を行っていることを考えると、MN-166がEUAを受ける可能性は低いと考えられます。

なお、EUAは(ⅰ)生命を脅かす疾患である(ⅱ)疾患治療で一定の有効性が認められる(ⅲ)製品を使用した際のメリットが、製品の潜在的なリスクを上回ると判断できる(ⅳ)製品以外に、疾患を診断、予防、または治療するための適当な代替品が無い、という4つの条件を満たした場合に発行されます。

治験データ量の不足からMN-166がEUAを受ける可能性は低いと前述しましたが、上記条件に当てはまることが、EUAを受ける可能性がゼロではないことに繋がります。

グリオブラストーマのフェーズ1/2a治験は2021年12月に主要項目が完了する予定です。

しかし、治験のスケジュール実績や希少疾患であること、大学との共同治験であることを考えると予定通りに完了するかは疑問です。

MN-001のパイプラインに話を移します。

NASH(/ NAFLD)の開発のテンションは開始時に比べて落ち着いてしまいました。

理由は明白であり、FDAがNASHの主要項目の評価方法にMRIを絡めた生体検査の実施を求めており、それにより治験費用が甚大となるからです。

開発コストの問題の他、NASHは開発競合他社が数多く開発競争の後手を踏んでいるため、コストを掛けずに遠回り(FDAの評価方法の指針を覆す取り組みなど)をしてでも低コストで行える開発プランを導き出そうとしている雰囲気(NASHと脂質異常症の研究や、メディカルアドバイザーの招聘)が感じ取れます。

IPFは今年末に主要項目の治験が完了する予定です。

話題性としてはMN-166や同MN-001のNASHに主役の座を奪われていますが、そのポテンシャルは非常に大きいです。

ベーリンガーインゲルハイムのIPF治療薬であるオフェブは米国で年間12億ドル(概算)の売上高を計上し、その額は田辺三菱製薬がラジカヴァで目指す米国売上高年間10億ドルをも超えます。

以上、MN-166とMN-001のパイプライン開発状況の概要を述べました。

開発状況の問題点としては、メディシノバの資金難が原因による開発スピードの遅延です。

『資金難→行政機関や大学との共同治験→開発遅延』という負のスパイラルから抜け出すことが特許という寿命を持つメディシノバの医薬品開発の今後を左右します。

フェーズ3の様な大規模治験では行政機関との共同開発はその寿命を食い潰すという意味でデメリットでしかなく、無再発SPMSのフェーズ3や来年以降のIPFフェーズ2b/3では一人あたりの投与期間の長さを考えると自社開発、または、グローバル製薬会社との共同開発が求められます。

既に開始しているALSやDCMのフェーズ2b/3治験には間に合いませんでしたが、主力級の上記2つのフェーズ3は是が非でも自社開発、または、グローバル製薬会社との共同開発を実施して頂きたく思っています。

次回はメディシノバ『グローバル製薬会社への道(後編:MN-166導出交渉の図解)』と題し、導出交渉の実態と何故時間が掛かっているのかを図解で解説致します。

 

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