メディシノバ 大株主の状況から読み解く投資判断

大株主の状況を把握することは投資判断を行うための情報の1つとして利用価値のあることだと思います。特に創業時点から多額の資金が必要になる創薬ベンチャーの場合、治療薬開発のための同業種による資本提携や、(米国では特に)大きなキャピタルゲインを狙うヘッジファンドの思惑などが絡まり合うため、大株主の入れ替わりが激しいことが多々あります。

メディシノバはどうでしょうか。有価証券報告書に記載のある過去3年間の上位10名の大株主の変化を見てみましょう(図表1)。

(図表1:大株主リスト – 有価証券報告書 作成:SKブログ)

2019年4月時点では大株主10名の保有数で発行済株式数の30.61%を占めます。メディシノバは創業以来資本提携を結んでいません。そのことも影響し、大部分の17.74%をヘッジファンドの保有分で占められています。

メディシノバと同業種企業として上位10名に唯一名を連ねるキッセイ薬品工業も約3年前の2017年6月に同社株式の処分を少しづつ行い、現時点では3.25%にまで持ち分を減らしています。将来的にはさらに持ち分を減らしていく意向なのではと感じています。

そのため、安定株主と言えるのはセガサミーの里見社長やメディシノバの元副社長でステムリムの岡島社長、そしてメディシノバの岩城社長の3名のみであり、その持ち分の合計はわずか9.62%です。

これらのことからメディシノバの大株主による株価形成は不安定な状況に置かれています。そのため、資本提携による安定株主の存在が待ち望まれます。

少し時間の針を進めます。NASDAQでは四半期ごとに機関投資家の株式持ち分を公開しています。日本では四季報による排他的な扱いを受けているメディシノバについても同様で、2019年6月30日時点での機関投資家による持ち分が公開されました。それを基に2019年6月30日時点での持ち分上位20名をまとめました(図表2-4)。なお、11位以下については米国機関投資家のみを対象としています。

(図表2:大株主上位20名 作成:SKブログ)
(図表3:大株主上位20名の割合 作成:SKブログ)
(図表4:大株主上位20名の詳細 作成:SKブログ)

上記図表で印象的なことは第1位の大株主であるブラックロックが占有率を0.72%(株数にして326,947株)も増やしたことです。

反対に今年4月時点では1.61%(同692,395株)の占有率を有していたJPモルガン・チェースが0.03%(同11,383株)まで占有率を減らしてました。

投資銀行のブラックロックと商業銀行のJPモルガン・チェースで将来のメディシノバに対する意見が真っ二つに分かれた形です(注:購入時期の観点でJPモルガン・チェースがただ利益確定をした可能性もあります)。

投資家の皆さまは保守的な商業銀行よりも進歩的な投資銀行の意向を支持することの方が多いのではないでしょうか。私もその一人であり、それ故に今後のブラックロックの動向を注視しています。

 

<参考文献>
・大株主一覧(2019年 有価証券報告書 / 2018年 有価証券報告書 / 2017年 有価証券報告書
米国機関投資家の占有率(NASDAQ)

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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