メディシノバ MN-166(イブジラスト)の性質

- Advertisements -

MN-166(イブジラスト)の作用や効能に関してメディシノバは以下の通り公表しています。基本的な情報としてメディシノバ株主の間では周知されています。

抜粋:メディシノバ ホームページ「MN-166神経系疾患治療薬」

「イブジラストは、日本と韓国で、喘息および脳梗塞発作後の症状の治療薬としてすでに27年以上使用されている経口投与の低分子化合物です。当社は現在MN-166は、ファースト・イン・クラスの経口摂取可能な低分子化合物で、ホスホジエステラーゼ-4および10の阻害剤、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカインなどを阻害する働きを有しており、また、グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和することがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用および神経保護作用を有することが確認されています。」

 

この基本情報はイブジラストに関する上澄みの情報のため、本記事ではイブジラストの性質をより詳しく掘り下げることで、読者の皆様のイブジラストの理解を深められればと思います。

まずイブジラストを含む医薬品は、疾患の発症に関連する生体分子(生体に含まれ、生命現象で重要なはたらきをもつ高分子の有機化合物)に作用し、生体内で薬効を示すことで疾患治療に貢献する物質です。これら生体分子を医薬品の世界では標的分子と呼びます。

その標的分子は大きく受容体、酵素、トランスポーター、イオンチャネルの4種類に分類されます。以下でそれぞれどういったものかを説明します。

1.受容体
受容体は生体にある外界や体内からの何らかの刺激を受け取る構造のことです。生物化学では主に神経伝達物質やホルモンを受け取る細胞内に存在するタンパク質のことを指します。

2.酵素
酵素は生体内反応の触媒となるタンパク質です。補足として、酵素の作用を受けて変化する物質を基質といい、高い触媒活性と基質特異性が酵素の特徴です。

3.トランスポーター
トランスポーターは細胞の膜上に存在するタンパク質です。栄養物をはじめとしたさまざまな物質を細胞内に輸送して生体の機能を調節しています。

4.イオンチャネル
イオンチャネルは細胞の生体膜に存在するタンパク質です。細胞の内外へイオンを透過させ神経伝達物質の放出を調節しています。

上記4種の標的分子はさらに機能別に計12種類に分類され、それを下記図表1にまとめます。なお、図表1で記載されたもの以外にも存在する物質はありますが、本記事では主要なもののみを記載します。

(図表1:標的分子の分類 作成:SKブログ)

医薬品が疾患に効くメカニズムを理解したところで、イブジラストの性質について解説します。

イブジラストの標的分子はGPCR(Gタンパク質共役受容体)と加水分解酵素の2つです。その2種の標的分子(GPCRのロイコトリエン受容体と加水分解酵素のホスホジエステラーゼ酵素)に作用することで、気管支喘息治療薬として現在承認を受けています。

*ロイコトリエン:喘息発作やアナフィラキシーを司る物質。
*ホスホジエステラーゼ(PDE):PDEは1~11に大分類され、番号ごとに異なる働きをする酵素です。MN-166(イブジラスト)に関連するPDEはPDE4とPDE10であり、PDE4は炎症作用、PDE10はその作用は解明されていません。

 

さらにメディシノバはイブジラストがToll様受容体(TLR)を持つリンパ球またはその構成要素のTリンパ球(T細胞)にも作用するとし、リンパ球から分泌されるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)と炎症性サイトカインの働きを阻害することで抗炎症作用を発揮すると主張しています。

*TLR:病原体を感知して自然免疫を作動させる受容体。
*マクロファージ:生体内の異物を捕食する細胞。
*MIF:炎症部位にマクロファージを集め炎症や免疫反応を惹起する因子。
*サイトカイン:細胞間相互作用に関与するタンパク質。作用や放出細胞は多種多様。

 

そしてイブジラストの最大の特徴は血液脳関門をクリアすることであり、その結果グリア細胞活性化の減衰効果に繋がっているとされています(血液脳関門の詳細は「メディシノバ MN-166(イブジラスト)の導出時期に関する考察」を参照)。

また、グリア細胞には中枢神経系において唯一の免疫細胞であるミクログリアが存在します。ミクログリアは活性化することで神経傷害と神経保護に作用する両極端な物質を放出するとされており、イブジラストはミクログリアの神経障害物質(炎症性サイトカインなど)の放出を阻害する、もしくは神経保護物質(抗炎症性サイトカインなど)の放出を促進するのではと考えられます。

*グリア細胞:神経細胞の生存や発達機能発現のための脳内環境の維持と代謝的支援を行う細胞。
*ミクログリア:グリア細胞の一種であり,中枢神経系において唯一の免疫細胞。

 

以上より、メディシノバが開発を進めるMN-166(イブジラスト)は同社が主張するように、抗神経炎症作用および神経保護作用を有する化合物であるとされ、それにより、進行形多発性硬化症(PMS)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、さらには変性性頸椎脊椎症(DCM)などへの効果が期待されています。

 

<参考文献>
イブジラストのメカニズムについて(KEGG DRUG Database)
標的分子について(創薬化学の側面から見た低分子医薬の将来像―低分子から中分子への広がり―)
Toll様受容体について(KEGG DRUG Database)
ミクログリアについて(グリア細胞を標的としたALSの治療法開発と分子病態解明)

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

- Advertisements -

Recent Comments

ADVERTISEMENT