塩素ガス肺損傷試験のポジティブ結果発表記念につき、同タイトルを公開させて頂きます。
※当記事は2023年9月16日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。
メディシノバをMCM領域で先行し、BARDAから資金援助を受けつつMCM製品を開発・販売を行っているNASDAQ上場企業がSiga Technology社です。
・シンボル:SIGA
・時価総額:3.2億ドル
・現金同等物:76百万ドル
□Siga社 財務状況(参考値)
(百万USD) 2017 2018 2019 2020 2021 2022
売上高 12 477 27 125 134 111
営業費用 12 13 13 15 18 35
純利益 31 422 -7 -71 -88 -43
純利益率 38% 88% -27% -99% -114% -67%
EBIDA 16 355 -2 -89 -94 -45
Net営業CF -18 69 -18 72 11 42
Siga社の事業環境をまず説明すると、主力MCM製品は天然痘治療薬TPOXXであり、2018年に経口剤が承認され、2022年には注射剤が承認されました。
Siga社とBARDAとの関わりは深く、BARDAは2016年からTPOXXの開発に対して資金を援助しています。
そして、2018年に経口剤が承認されると、程なくしてBARDAとの最大6.29億ドルの契約が締結されました。
契約内容の中身は経口剤の購入(国家備蓄用)と注射剤の開発支援が中心です。
同契約のこれまでの実績を年度ごとに見ていくと、2018年には約50百万ドル、2019年には約25百万ドル、2020年には約1億ドル、2021年には約1.1億ドル、2022年には約30百万ドル、そして2023年にはこれまで約1.4億ドルの契約金が行使されました。
累計が約4.6億ドルの行使であるため、単年度平均では70~80百万ドルとなります。
さらにSiga社は他国へもTPOXXを販売していますが、その規模はBARDAとの契約に比べると小さ目です(過去累計1億ドル程度)。
加えて、経口剤の推定使用期限が5年間、注射剤が同1~2年程度であることを踏まえると、TPOXXよりも優れた治療薬が現れない限り、Siga社は単年1億ドル前後の売上高を今後計上し続けるものと思われます。
このような状況下において、Siga社の時価総額は過去5年間、一時の例外的な上昇期こそあったものの安定して3.5~7億ドルの範囲で推移をし、現在は同範囲を下にはみ出した3.2億ドルとなっています。
ヘルスケア株の適正PSRは4~5倍と推定されているため、実績(単年70~80百万ドル+α)から評価すると現在のSiga社の時価総額は適正といえます。
一方で、今後は使用期限が短い注射剤の発注が増えると見込まれることから、単年1億ドル前後の売上高が期待され、時価総額4~5億ドルが適正値と変わって行くことでしょう。
Siga社の弱点はTPOXXに続くパイプラインが存在しないことです。
腫瘍領域において研究を進めているものの、未だ前臨床段階であることを踏まえると、先に上げた時価総額4~5億ドルが理論的な上限と言えます。
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