ステムリム 株式の立会外分売と売却意向を持つ人物について

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ステムリムは2020年2月6日、「株式の立会外分売に関するお知らせ」において東京証券取引所での1,700,000株におよぶ立会外分売を実施すると公表しました。

立会外分売とは、取引所の時間外に大株主などの大量の売り注文を小口に分け不特定多数に売却する方法のことです。

また、売却価格は実施予定日の前営業日終値からディスカウントされる場合が多く、個人株主の増加を図る手法として利用されています。

なお、ステムリムの立会外分売の実施内容については以下の通りです。

 

<立会外分売(抜粋)>

1.分売予定株式数:1,700,000 株
2.分売予定期間:2020 年 2 月 14 日(金)~2020 年 2 月 18 日(火)
3.分売値段:分売実施日前日終値もしくは最終気配値を基準として決定する予定。
4.買付申込数量の限度:買付顧客1人につき10,000 株(売買単位:100 株)
5.実施取引所:東京証券取引所
6.実施の目的:一定数量の売却意向があり当社として検討した結果、立会外分売による当社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため。

 

ステムリムの発行済株式総数は2020年2月7日時点で52,785,000株のため、発行済株式総数の3.2%に当たる株式を今回の立会外分売において発行する予定となります(その後実施)。

続いて、ステムリムに同社株の売却意向を伝えた人物が誰なのか、目星を付けたいと思います。

まずは以下、2020年2月7日時点でのステムリム大株主の状況を確認下さい。

 

<ステムリム大株主>

玉井克人:10,500,000株
玉井佳子:5,400,000株
大久保俊幸:4,650,000株
冨田憲介:5,775,000株
塩野義製薬株式会社(委託先:SMBC信託銀行):2,850,000株
みやこ京大イノベーション投資事業組合:2,443,000株
大阪バイオファンド投資事業組合:2,433,000株
大和日台バイオベンチャー投資事業組合:2,333,000株
*山崎尊彦:1,380,000株
*臼井玲:1,320,000株

*山崎尊彦氏、臼井玲氏の持ち分は2020年7月31日時点。

 

今回の立会外分売1,700,000株が1名によるものとすると、上記大株主の内、山崎尊彦氏および臼井玲氏は持ち分不足により条件から外れます。

また、経営に関与している者の株式売却は市場に混乱を来すため、役員による売却は考え難いです。そのため、代表取締役会長の富田憲介氏も除外されます。

塩野義製薬株式会社は資本提携による株式持ち分のため除外されます。

みやこ京大イノベーション投資事業組合および大和日台バイオベンチャー投資事業組合はその投資理念の観点から、ステムリムの開発状況を考えると今売却することは考え難いです。

大阪バイオファンド投資事業組合は2013年12月からステムリムへ投資をしている古参ファンドです。

そのため、売却意向を示してもおかしくはないですが、同ファンドは政府系ファンドであり、バイオ産業の発展を目的としているため、ステムリムの現状を考えると、売却の意向はその目的に矛盾します。

玉井夫妻に関しては非常に多くの株式を保有しているため一部売却の可能性はありますが、玉井克人教授の人生の目的とも言える表皮水疱症治療薬の開発が好調に進められている今、ステムリムに不利となることをわざわざ行う必要性が私には思いつきません。

以上の人物を除いた上で、大久保俊幸氏が候補として残ります。

大久保氏は旧ステムリムの株式会社ジェノミックス時代の代表取締役社長であり、現在は無職という状況です。

さらにロックアップ期間が2020年2月4日で終了したこともあり、売却するタイミングとしては非常に辻褄の合う時期となっています。

以上より、ステムリムに同社株の売却意向を伝えた人物は大久保俊幸氏ではないかと私は考えています。

 

<参考文献>
みやこ京大イノベーション投資事業組合について(同社ホームページ)
大阪バイオファンド投資事業組合について(同社ホームページ)
大和日台バイオベンチャー投資事業組合について(同社ホームページ)
大久保俊幸氏について(変更報告書)

<調査銘柄の概要>
4599 : ステムリム
住所 : 大阪府茨木市彩都あさぎ7丁目7-15 彩都バイオインキュベータ3階
電話番号 : 072-648-7152(非通知発信は接続不可)
HP : https://stemrim.com/

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