メディシノバ ALS(筋萎縮性側索硬化症)適応の既存薬品とMN-166(イブジラスト)の優位性

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メディシノバは進行型多発性硬化症(PMS)適応のMN-166(イブジラスト)パイプラインを保有し、また同症状適応の既存薬に対し優位性を持つことが確認出来ました(記事「メディシノバ 進行型多発性硬化症適応の既存薬品とMN-166(イブジラスト)の優位性」参照)。

今回の記事ではPMS適応パイプラインと同じくメディシノバが強い意志を持って開発を続けている筋萎縮性側索硬化症(ALS)適応のMN-166の優位性について考察します。

ALSは大きく上肢型、下肢型、球麻痺型、呼吸筋麻痺型の4種類に分類されます(図表1)。

上肢型は上肢(肩関節から手先)の筋萎縮と筋力低下により腕や手を動かし難くなるなどの症状を示します。下肢型は下肢(股関節から足先)から発症し、下肢の筋萎縮と筋力低下により立ったり歩いたりすることが難しくなっていきます。

球麻痺型は舌や喉の筋肉低下により、言葉を発し難くなる、食物を飲み込み難くなるなどの症状を示します。呼吸筋麻痺型は手足の筋力低下よりも呼吸困難が先に現れます。

(図表1:ALSの分類 作成:SKブログ)

ALSは進行度に合わせて4つのステージがあります(初期・中期・後期と3つのステージに分けている場合もある)。

メディシノバの次の治験フェーズ2b/3にて治験対象者をALS発症から18ヶ月以内と記載しているが、RilutekのALS適応に対する過去の治験結果から18ヶ月以内とはステージ1または進行スピードが早い場合でもステージ2を上限にしたものと推測出来ます。

(図表2:ALSのステージ 作成:SKブログ)

・フェーズ2b/3の治験対象者について(抜粋:メディシノバIR)
臨床治験への主な参加基準・除外基準は、ALS の発症がスクリーニング時より18ヶ月以内であること、スクリーニング時点でのALSFRS-R スコアが35以上であること、スクリーニング時から3ヶ月以上前かつ6ヶ月以内に評価された ALSFRS-R スコアの記録が少なくとも1つはあること、リルゾール治療を受けていることなどです。

 

また米国ではALS患者の病状把握のためにALSFRS-R(ALS Functional Rating Scale-R)MMT(Manual Muscle Test)ALSAQ(ALS Assessment Questionnaire)といった評価方法がよく用いられます(図表3)。

ALSFRS-Rは主に身体機能的評価(48点満点)、MMTは主に筋力測定、そしてALSAQは主にALS患者のクオリティ・オブ・ライフ(QoL)評価です。

(図表3:ALS評価スケール 作成:SKブログ)

米国FDAからALS適応の開発薬品に対し承認を受けるためにはALS患者の生存期間の延長はもちろんのこと、主にALSFRS-Rスコアの維持・改善に効果が発揮されなくてはなりません。

米国には現在、Mitsubishi Tanabe Pharma社のRadicava (化合物名:Edaravone)と2002年にBayer社に買収されたRhone Poulenc Rorer社の特許切れ薬品Rilutek (化合物名:Riluzole)の2種類の薬品が承認されています。

それでは、既存薬品とメディシノバが開発を勧めているMN-166について考察していきましょう。

まず本記事を執筆している2019年7月3日時点で出揃っている治験データは上記2薬品とMN-166の間で異なります。

そのため「メディシノバ 進行型多発性硬化症適応の既存薬品とMN-166(イブジラスト)の優位性」にてMN-166と既存薬品を考察したように全ての薬品が同じ内容で比較出来ないことをお詫びします。

(図表4:ALS治療薬とMN-166 作成:SKブログ)




Radicavaは日本での治験データを元に米国で承認されました。同治験では生存期間への影響を確認する試験は実施されてなく、ALSFRS-Rのスコア変化量を主要評価項目としました。

下記図表5は同治験結果です。ALSFRS-Rスコアは48点満点のため、いかに統計的に有意とはいえ、6ヶ月でプラセボに対し2.49の悪化抑制というのは効果が限定的と言われてもしかたがない数値です。

(図表5:Radicava ALSFRS-Rスコアの変化量 作成:SKブログ)

RilutekはALSFRS-Rスコアではなく生存期間の延長が主要評価項目に設定されていました。Rilutekは唯一のALS治療薬として長年投薬されてきましたが、実はALSステージ4(最終ステージ)にのみ延命効果があります。しかもその効果は限定的で約3ヶ月の延命効果があるのみです。

(図表6:Rilutek ALSステージと生存期間延長の有意性 作成:SKブログ)

MN-166は過去の治験結果から早期かつ上肢型・球麻痺型のALSに対して効果を発揮するように思います。これはCMOの松田さんもIR動画で公言していました。

また、早期かつ上肢型・球麻痺型のALSに限っては6ヶ月後のALSFRS-Rスコアの安定や改善(悪化の抑制ではない)が見られた患者もいました(20人中5人)。

なお図表7にP値は記載されていますが、同治験はP値を見るためのものではなかったと述べておきます。

(図表7:MN-166 ALSFRS-Rスコアの安定と改善 作成:SKブログ)

以上より、MN-166の既存薬に対する優位性としてALSの症状の改善や進行の抑制効果が上げられます。

また、次の治験フェーズ2b/3ではRiluzole無しのMN-166とプラセボの2 群無作為化二重盲検試験かつ、早期ALS患者を対象としています。

さらに前治験に比べ治験期間が3ヶ月間延長されます(9ヶ月 = 6ヶ月+3ヶ月)。そして治験参加人数の増加もあるためより有意差が現れやすくなるはずです。統計学を学んできた身としては物凄く強気姿勢でこの治験の行方を見守っています。

 

<参考文献>
ALSの分類(すべてがわかるALS・運動ニューロン疾患)
ALSのステージ(The 4 Stages of ALS- Lou Gehrig ’s Disease)
Radicavaの日本での治験データ(KEGG 医薬品情報)
Rilutekの治験データ(Stage at which riluzole treatment prolongs survival in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a retrospective analysis of data from a dose-ranging study)
MN-166の治験データ(MN-166のALSを適応とする臨床治験でのサブグループ解析データ発表のお知らせ)

 

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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