創薬ベンチャーの時価総額分析-Part 3 時価総額とPBR(株価純資産倍率)の対比

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前回までのPart1, 2を通して創薬ベンチャーの時価総額と財務項目の分析を統計学的に行いました。その結果、創薬ベンチャーの時価総額を検討する上では資産状況に焦点を当てるべきというヒントが得られました。

そのため、本記事Part3からは創薬ベンチャーのPBR(株価純資産倍率)を何回かに分けて考察していきます。

まず医薬品業種銘柄のPBRをそれぞれ図表1にまとめます。東証一部平均および東証一部以外平均の2分類計4項目では製薬企業と創薬企業のみを対象としています。

さらに平均値項目の全体95%、東証一部90%、東証一部以外92%では外れ値としてそれぞれPBRの上位下位2銘柄(計4銘柄)、2銘柄(計4銘柄)、1銘柄(計2銘柄)を除外しています。

データ取得:2019/6/19
(図表1:医薬品業種銘柄のPBR 作成:SKブログ)

東証一部企業を製薬企業、東証一部以外を創薬企業と仮定すると製薬企業の平均PBRは1.75倍、創薬ベンチャーは5.51倍となります。

PBRが極端に大きいペプチドリーム、カルナバイオサイエンス、サンバイオは主観的に割高と感じますが、それを説明出来るだけの事業内容があるのか気になります。

図表2,3,4ではPBRと時価総額の分布を示します。分布の他にトレンドラインと決定係数の値も一緒に算出しました。視覚的にも一貫性のあるトレンドは見受けられませんが、数値としても全ての区分で相関関係は認められませんでした(有意水準  = 0.01)。

なお、相関関係の有無の詳細については「創薬ベンチャーの時価総額分析-Part 2 時価総額と財務項目の相関分析」を参照してください。

データ取得:2019/6/19
(図表2:PBRと時価総額の散布図 – 全体 作成:SKブログ)
データ取得:2019/6/19
(図表3:PBRと時価総額の散布図 – 東証一部 作成:SKブログ)
データ取得:2019/6/19
(図表4:PBRと時価総額の散布図 – 東証一部以外 作成:SKブログ)

当記事では時価総額とPBRの間にどの様な関係があるのかを探るために簡単な対比を行いました。簡単な対比では関係性を見つけることは出来ませんでしたが、次回以降、時価総額とPBRのより詳細な分析を進めて行こうと思います。

<参照>
・銘柄データ(ヤフーファイナンス)

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