2019年8月9日(米国)にメディシノバは米国証券取引委員会(SEC)に株式新規発行枠の申請(Form S-3)を行いました。まだ申請中のためSECから正式に受理された訳ではありませんが、過去一度も却下されていないため今回も問題なく受理されると思います。
また今回の株式新規発行枠の申請は200,000,000USDと巨額です。しかし承認済み発行枠の158,859,351.6USD分を繰り越しているため、実質新規発行枠は41,140,648.4USDで済んでいます。

図表1は過去6度の申請と今回の申請をまとめたものです。メディシノバは公募増資に関してはどの枠を用いるか明記しています。また公式書類に明記はありませんでしたが、用途AはNASDAQ上場および株式インセンティブのための申請、用途Bは株式インセンティブのための申請でしょう。
2012年にはAspire Capital Fundへの割当増資、2015年と2018年にはLadenburg Thalmannを通して公募増資を行っています。さらに2017年6月13日に東京証券取引所にて約5億円の立会外分売を実施していますが、こちらはSECと管轄が異なるので本記事では割愛しました。
さて、過去の株式新規発行枠の申請を見てきましたが、メディシノバは申請した枠についてはしっかりと活用してきた印象を受けます。そして今回の申請の意図はいくつか考えられます。
1.株式インセンティブプラン
→2016年8月29日に承認を受けた100,000,000USDの枠が今月29日に失効します。そのため、株式インセンティブに用いる新たな枠を用意する必要があり、それを今回行った可能性があります。
2.資本提携に対する割当増資
→メディシノバは上場廃止危機に直面しています。そのためパイプラインのいずれかを導出することで契約一時金を得る必要があります。その際、資本提携を絡めた契約の可能性もあるため、その分の枠を今回用意した可能性があります。
3.導出交渉難航による増資
→導出交渉が頓挫もしくは難航の場合、パイプライン(特にMN-166のALS適応パイプライン)の開発費を捻出する必要があります。そのための増資を行う可能性は捨てきれません。
2020年10月2日まで158,859,351.6USDの枠が残っているため、今回の新枠申請が株式インセンティブプランのためという理由は少し弱い気がします。また、承認を受けてから3年で枠の期限が切れることを考えると、株式インセンティブのため200,000,000USDという枠を用意することは不自然な気がします。
とすると、資本提携に対する割当増資もしくは導出交渉難航による増資のためとする方がより自然な解釈になってきます。さらに、公募増資の場合は時価総額の10%以下でならないというルールがあるため、今回の158,859,351.6USDを繰り越して申請していることが不自然になってきます。
そのため、(もちろん導出交渉難航による割当増資という線も考えられるが)導出交渉難航による増資ではなく、資本提携に対する割当増資のための申請という可能性の方が高いように感じます。
<参考文献>
・Form S-3について(The Securities and Exchange Commission)
・メディシノバのSEC Filingデータ(SEC EDGAR System)
<調査銘柄の概要>
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