メディシノバ『遺伝子治療薬の現状から考察するSanofi(サノフィ)のAAV遺伝子治療プログラムおよびメディシノバの経営活動に与える影響』

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※当記事は2021年5月23日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。

 

2021年4月22日、メディシノバは「Sanofi S.A.からのマイルストーンの受領に関するお知らせ」において、Sanofi社から400万ドルのマイルストーンを受領したことを発表しました。

同マイルストーンはメディシノバが2009年に買収したAvigen社の遺伝子治療技術であるAAV(アデノ随伴ウイルス)ウイルスベクター技術に対して支払われたものです。

メディシノバ株主にとってウイルスベクターというとバイオコモ社のウイルスベクターワクチンBC-PIV/Sが記憶に新しいと思いますが、人工的に作成した遺伝子を導入することで体内に狙った何かを生み出すという点では同じです。

そして、今回のマイルストーンはレーバー先天性黒内障(幼児期に発症し、重度の視力障害から青年期には失明に至る遺伝性疾患)パイプラインを対象としたものであり、同パイプラインがフェーズ1および2治験に進むことにより400万ドルを受領しました。

上記内容はSanofiがレーバー先天性黒内障治療薬の開発を進めているような内容ですが、同パイプラインは既にSanofiの手から離れ、現在は同パイプラインの導出先であるAtsena Therapeutics社が開発を進めています。

また、Sanofiは複数の遺伝子治療薬の開発パートナーとしてVoyager Therapeutics社とパートナーシップ契約を締結しておりましたが、開示されている共同開発プロジェクト(ハンチントン病、フリードライヒ運動失調症、脊髄性筋萎縮症)は中止されました。




ハンチントン病に限っては10万ドルのマイルストーンと一桁台前半のロイヤリティをSanofiは将来的に得られる可能性を残しましたが、その結果、メディシノバに影響を与える遺伝子治療パイプラインは減少し、現在公開されている範囲ではレーバー先天性黒内障(Atsena Therapeutics社)とハンチントン病(Voyager Therapeutics)の2つのパイプラインに限られます。

レーバー先天性黒内障のマイルストーンについては既に受領済みですが、ハンチントン病のパイプラインは2021年中にフェーズ1/2治験を実施する予定のため、レーバー先天性黒内障同様に数百万ドルのマイルストーン受領の可能性が考えられます。

その他、サノフィは2020年末頃からウイルスベクター製造施設の建設を開始し、2021年3月にはウイルスベクター製造に強みを持つSiron社との間で、AAVベクターを用いた次世代遺伝子治療薬の共同開発契約を結びました。

以上より、SanofiによるAAVベクター遺伝子治療薬の開発はこれから活発に行われていくと考えられますが、仮にメディシノバのAAVベクター技術が同次世代遺伝子治療に用いられているとし、複数のパイプラインによるマイルストーンを受領するようになるまで、早くとも来年以降になると予想されます。

また、今年度のAAVベクター技術によるマイルストーン収入によって営業利益を達成する可能性はハンチントン病のマイルストーン収入を得たとしても低い状況です。

そのため、AAVベクター技術のマイルストーン収入だけによる上場維持基準の達成の可能性も低いです。

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