メディシノバ 日経平均株価との連動性

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米中の貿易摩擦を巡る応酬が激しくなり、世界経済の先行きは非常に不透明になってきています。また株式市場でも対立長期化への不安が強く、リスクオフの傾向が強まっていくと予想されています。

さて、メディシノバというとMN-166の進行型多発性硬化症適応パイプラインの導出交渉は長引いていますが、それ以外のビジネスについては着々と進んでいる印象を受けています。

その様な背景の中、創薬ベンチャーという極めて経済状況に影響を受けにくいビジネスモデルのメディシノバの株価が経済状況(日経平均株価)にどの程度連動しているのかを分析しようと思います。

分析方法はメディシノバと日経平均株価の終値を用いた単回帰分析を用います。期間は2005年2月8日〜2019年8月2日です。また市況を考慮し各年ごとと累積とに分類しました。その結果を図表1にまとめます。

(図表1:単回帰分析の結果 作成:SKブログ)

図表1で得られたほとんどの結果は統計的に有意な値となりました。なお、統計的有意性については「創薬ベンチャーの時価総額分析-Part 2 時価総額と財務項目の相関分析」で詳しく説明しているのでそちらを参照下さい。

ここで累計全期間の結果を例に取ります。3542のデータペア数において、日経平均株価(N)でメディシノバの株価(M)を説明する場合、M = 0.04 × N + 169 という数式が成り立ちます。 これは日経平均株価が100円上がるとメディシノバの株価が4円上がるという意味です。切片の169はメディシノバの株価を日経平均株価で説明する際の制御的な数値と解釈して構いません。

上記例をグラフにしたものが図表2です。トレンドラインから大きく外れたデータ群が見て取れます。これはメディシノバが大証ヘラクレス市場へ上場した直後の期間のものであり、当時の様子は記憶にありませんがおそらくIPOによる過熱感によるものと思われます。

(図表2:データプロット – 全期間 - 作成:SKブログ)

また、メディシノバは上場後2006年11月2日に10株の価値を1株にまとめる株式併合(10株→1株)を行いました。IPOの過熱感が落ち着いたそれ以降のデータ(外れ値を除いたデータ群)で同分析を行うと下記図表3になります。

(図表3:データプロット – 株式併合後 - 作成:SKブログ)

結果として M = 0.05 × N – 197 という数式が得られ、非常に綺麗なプロット図も取れました。相関係数も0.68(決定係数R^2 = 0.461)と非常に高い値です。もちろん統計的に有意水準0.01で有意な値です。

この数式に本日2019年8月6日の日経平均株価の終値 N = 20,585.31 を代入すると M = 834 となり、長期的視点では本日のメディシノバの終値953円は同日経平均株価水準に対して高い位置にあります。

また本分析の主要目的である連動性については、長期的な区分ではβ値が0.05(日経平均株価が100%上がっても、メディシノバは5%しか上がらない)と非常に小さいことから、メディシノバの株価は日経平均株価に対して連動はするがその影響度は非常に小さいと結論づけます。(相関係数は連動の有無を測るために用い、連動の大きさを測るにはβ値を見ます。)

さらに各年単位では13年間が統計的に有意な結果が得られました。そのうち9年間が0.10以下のβ値を取っているため、短期区分でもメディシノバの株価は日経平均株価に対して連動はするがその影響度は非常に小さいと結論づけます。

 

<参考文献>
銘柄データ(ヤフーファイナンス)

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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