前回の記事「メディシノバ 大株主の状況から読み解く投資判断」により3,135,311株(占有率:7.28%)を保有するBlackRock(ブラックロック)社がメディシノバの筆頭株主であることが分かりました。
BlackRockが運用資産残高6.84兆ドル(約737兆円)を誇る世界最大の資産運用会社であることは有名です(2019年6月末時点、$1 = ¥107.74)。また、同社が提供する上場投資信託(ETF)ブランド「iシェアーズETF」も約36%のETF世界シェアを誇り世界最大となっています。
このような世界最大の資産運用会社がメディシノバ株を保有していることに、メディシノバの株主も大変心強く感じていると思います。
しかし、資産運用会社では大小問わず複数のファンドを立ち上げ運用していることがほとんどです。ファンドによっては運用益を目的としないインデックス連動型のものもあるためより注意が必要です。
それではBlackRockがどのような内訳でメディシノバ株を保有しているかを見ていきましょう。まず2019年1月9日に金融庁に提出された最新の変更報告書(特例対象株券等)によると、BlackRockはBlackRock Fund AdvisorsとBlackRock Institutional Trust Co NAを通じてメディシノバ株を保有しています。両社とも米国に籍を置く資産運用会社として登録されています。
日本の変更報告書からは保有者の情報は入手出来ますが、どういった理由で保有しているかのヒントとなる情報を入手することは困難です。しかしBlackRockは米国籍のため日本とは異なる情報を入手することが可能です。
米国では機関投資家の上場企業株式持ち分は四半期ごとに開示されます。それに加え、ファンドに対しても同ルールが適応されるため、どのファンドがどの株をどのくらいの株数を保有しているかを把握することが可能です。
そのため、BlackRockと同社が運用するファンドがメディシノバ株をどの程度、そしてどのような目的で保有しているかが分かります(図表1,2,3)。
考察として、BlackRockは少なくとも保有分の41.2%(パッシブ)についてはメディシノバの成長期待という理由では保有していません。これはメディシノバがRussell 2000インデックスとNASDAQ バイオテクノロジー業種に該当しているため保有されたものです。
反対に15.0%(アクティブ)はメディシノバへの成長期待のため保有されているものです。パッシブがベンチマークと連動する値動きをターゲットとしているのに対し、アクティブはベンチマークを上回ることが目的のため、成長期待無しではアクティブ型のETFには含まれないからです。
残りの43.8が保有属性不明となっています。しかし資産投資会社が株式を保有する目的は大抵の場合で利益を上げるためです。よって、不明分の43.8%についても成長期待が理由と捉えて問題ないはずです。
以上より、BlackRockは保有分の約6割をメディシノバの成長期待を理由に保有していると解釈して良さそうです。また、BlackRockのiシェアーズETFは今年に入り2四半期連続で資産残高を伸ばしているため、今後もメディシノバ株の保有数を増やしていく可能性も十分に考えられます。
<参考文献>
・BlackRockについて(BlackRock ホームページ)
・iシェアーズETFについて(BlackRock iシェアーズ ホームページ)
・ファンドごとのメディシノバ株保有数について(ヤフーファイナンス)
<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
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