メディシノバ株をJASDAQ市場で取引している投資家にとって期待と不安が入り交じる2019年。今年最も注目されていることはMN-166(イブジラスト)の導出交渉の行方であることは言うまでもありません。
導出交渉の過程では交渉相手から化合物の追加情報を求められることは珍しくありません。それに付随してデータ取得のため新たな治験を行う必要が出てきます。
メディシノバにも今年6月からその動きが見られました。イブジラストのバイオアベイラビリティについてです。
・MN-166のバイオアベイラビリティ治験タイトル(詳細は図表1)
和訳:MN-166(イブジラスト)の健常者に対する錠剤型徐放性とカプセル型即時放出性の相対的バイオアベイラビリティ
相対的バイオアベイラビリティでは異なる手段で薬剤を投与した場合の吸収性を測ります。またバイオアベイラビリティは生物学的利用率と生物学的利用速度の2つの項目に分けて評価されることが一般的です。
今回の治験で関心を持った経緯は、MN-166(イブジラスト)が神経と反応する理由が血液脳関門をクリアすることにあるということです(下記動画1[18:25~]参照)。また、血液脳関門をクリアするには薬の作用のキレが悪いことが要因とも述べています。
さらにMN-166の投与量が1回あたり50mgとMN-166の進行形多発性硬化症に対するフェーズ2b治験「Safety, Tolerability and Activity Study of Ibudilast in Subjects With Progressive Multiple Sclerosis」や直近公開されたALSに対するフェーズ2b/3治験「Evaluation of MN-166 (Ibudilast) for 12 Months Followed by an Open-label Extension for 6 Months in Patients With ALS」の1回あたりの最大投与量と合致します。
MN-166のキレについてのデータが重要であることは容易に想像出来ます(米国人を対象としたMN-166の相対的バイオアベイラビリティ治験は今回が初)。そのため、交渉相手がそのデータを求めてきても不思議ではありません。
以上より、同治験の進捗が導出交渉がまとまらない理由の一つと考えられるのであれば、同治験が終了する2019年9月30日(推定)までは導出に関する報告は開示されない可能性が大きいです。
その他の同治験の可能性として統合失調症治療薬の開発が考えられます。メディシノバの開発手段の特徴として、その道の専門医と協力して開発を行います。
同治験はDavid P Walling博士主導で行われているものです。同博士は治験責任者として過去に統合失調症治療薬Aristadaを上市させた経験があります。
そのため、MN-166の統合失調症やそれに付随する症状に対する開発を始めた可能性も考えられます。その場合、同治験がフェーズ1のため影響は少ないとは思いますが、導出交渉の速度に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
<参考文献>
・血液脳関門について(血液脳関門 と薬物の脳内移行)
・David P Walling博士について(CNS / FDA approves Aristada Initio for schizophrenia)
<調査銘柄の概要>
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