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メディシノバがバイオコモ社とCovid-19ワクチンの開発に着手するプレスリリースを発端とし、同日のNASDAQ市場では約8200株もの出来高が観測されました。
メディシノバの株価は上値が重く、一般創薬ベンチャーであれば大幅な株価上昇となるようなポジティブな治験結果や特許取得のプレスリリースが発行されたとしても、株価に反応が無かったり、上昇持続性も低い状況です。
なぜこういったことが起こり得るかというと、メディシノバの株価形成が非常に不安定であることが原因です。
紐解くと、メディシノバの日々の株価形成はもっぱらJASDAQによって主導されていますが、その出来高は浮動株の割合からすると非常に小さく、さらにJASDAQが主導で価格形成を行っているにも関わらず、JASDAQに属する浮動株がNASDAQのそれの1/6~1/7と非常に少ないことがメディシノバの株価形成をより複雑にしています。
JASDAQとNASDAQの日米株式市場に上場しているメディシノバの詳細な浮動株は各個人で算出するしかありません。
メディシノバは現在44,711,883株を発行しています。
そのうち、同社取締役・執行役の持ち分はわずか2,325,033株(5.2%)であり、2020年6月末時点の上位10社の機関投資家の8,619,703株(19.3%)に比べ非常に小さい持ち分となります。
さらに里見治氏が保有する2,217,000株(5.0%)を含めると特定株は合計13,161,736株(29.4%)となり、浮動株は残りの31,550,147株(70.6%)と非常に多く存在することになります。
浮動株はJASDAQとNASDAQに割り振られていますが、ほとんどの浮動株はNASDAQに存在します。
浮動株の配分としてはJASDAQに4,250,000株、NASDAQには27,300,147株です。
JASDAQへの株式流通は過去2回確認され、JASDAQ(当時ヘラクレス)上場時のIPO分3,450,000株と2017年10月に実施された立会外分売800,000株がJASDAQ市場へ流通しました。
発行済み株式数の9.5%にも満たないJASDAQの浮動株がメディシノバの株価形成を主導しており、これが同社の株価推移の怪奇を生じさせている一つの要因です。
さらにJASDAQ主導での株価形成の裏付けが図表1です(注:対比平均値は各月の対比値を平均したものであり、全体平均ではありません。)。
発行済み株式数の9.5%が配分されているJASDAQ市場での出来高が、同90.5%であり発行済み株式数浮動株率が61.1%のNASDAQの出来高の約2倍です。
圧倒的に少ない株式配分数のJASDAQが、9倍以上もの配分数と6倍以上の浮動株数を誇るNASDAQよりも出来高が約2倍あることにより、JASDAQが主導で株価形成を行っているものの、その株価形成の信頼度の低さが怪奇を生じさせていると考えられます。
この怪奇を解消するためNASDAQに求められることは、少なくともJASDAQと同水準の月間出来高が浮動株の約1.2倍以上を安定的に記録することです。
これは月間3,000万以上の出来高が求められ、現在の平均約250万株(7月27日の8,200万株の出来高を除外)の12倍となります。
この実現は少なくともメディシノバがグローバル製薬会社との導出契約を締結後と見込んでいます。
なお、7月27日の8,200万株もの出来高ですが、これはJASDAQ換算だと浮動株基準で約1300万株、株式配分基準だと約900万株となります。
JASDAQの株式取引データに馴染みのある方にとっては8,200万株の出来高はとてつもない出来高ですが、全体像で見るとその出来高は大きいものの、現実的な範疇にあります。
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