メディシノバ『MN-166とMN-001の米国特許一覧表および特許戦略の解説(中編:MN-166の進行型MS以外の解説)』

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前回の「MN-166とMN-001の米国特許一覧表および特許戦略の解説(前編:MN-166の進行型MSおよび再発寛解型MS治療薬の開発)」では主にMN-166の進行型MSの特許戦略を考察しました。

MN-166のALS(筋萎縮性側索硬化症)を適応とする特許に対して、メディシノバは現在MN-166単体投与とリルゾールの併用投与の2つの用途特許を取得しています。

(図表1.MN-166とMN-001の特許 作成:SKメルマガ)

現在進行中のALSフェーズ2b/3治験ではMN-166の単体での投与が実施されているため、リルゾールとの併用投与(国際出願中の「リルゾール+ゲラニルゲラニルアセトン」の併用投与含む)は単体投与の特許切れをカバーするための保険とした意味合いがあるものと推測します。

MN-166のPMS(進行型多発性硬化症)を適応とする併用投与の開発と同様に、ALSのそれも単体投与で有効な治療効果が得られた後から単体投与の特許切れを迎える間に行われると予測します。

DCM(変性性頸椎脊椎症)に関しては現在特許を取得していません。

そのため、現在進行中のDCMフェーズ2b/3治験における初期解析または中間解析のデータを特許申請に用いる可能性が高い状況です。

このスケジュールの場合、主要項目完了まで術後6ヶ月の期間を設けられている同治験の最終結果が得られる前に特許申請が受理される可能性が高いです。

MN-166のパイプラインの中でクラッベ病、CIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)はホームページに記載があるものの、積極的に開発を行っているものではありません。

そのため、クラッベ病に対する特許未取得や、2025年12月6日で切れるCIPNに纏わる特許の状況をネガティブに捉える必要はありません。

メタンフェタミン(覚醒剤)、オピオイド(ヘロイン・処方鎮痛剤)、アルコールの3つの依存症に対しては特許期限が2030年1月27の用途特許「日薬物および行動嗜癖の治療方法」が全てをカバーする主要な特許として役目を果たしています。

メディシノバは上記3つの依存症の中でもアルコール依存症に対する開発を優先的に行っており、同依存症に対しては「アルコール依存症に起因する鬱病および不快感の治療方法」についての特許取得の動きが見れます。

この理由は3つの依存症の中で最も大きい市場規模を誇ることと(アルコール依存症治療の米国治療費市場規模はオピオイドのそれの約2倍の約8000億円であり、メタンフェタミンの約7倍)、アルコール依存症を適応とする治療薬が無いことが上げられます。

直近のアルコール使用障害および離脱を適応とするフェーズ2臨床治験の良好な結果により、依存症パイプラインの主力として開発が優先して行われるはずです。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を発端としたMN-166によるARDS(急性呼吸窮迫症候群)の開発が急であったことから、現在までにメディシノバはARDSに関する特許を取得していません。

また、他の研究機関によって2020年2月にイブジラストによるARDSの動物モデルスタディ(Med Sci Monit、2020; 26:e922281)の良好な結果が発表されました。

このことはメディシノバによるMN-166のARDS治療に関する特許取得に対してネガティブに作用するため、ARDS治療に関する特許の早急な取得が求めらている状況です。

グリオブラストーマ(膠芽腫)はご存知の通りテモゾロミドなど(カルムスチン、ベバシズマブ、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、イリノテカン、ロムスチン、ニモツズマブ、シロリムス、ミプサガルギン、カボザンチニブ、ロムスチン、オナルツズマブ、パツピロンRIウイルス性腫瘍溶解抗生物質)いくつかの医薬品により治療が行われていますが、根本的には治療薬が存在しません。

同疾患に対する主力特許は2037年12月21日までの「膠芽腫および再発性膠芽腫の治療方法」です。

現在進行中の同疾患に対するフェーズ1/2a治験の主要項目が完了するのは2021年12月であり、同疾患が希少疾患であることからも開発は非常にスムーズに行くと予想しています。

よって、主力特許の有効期限は非常に長期間残されています。

そういった状況にも関わらず、メディシノバは「骨髄由来免疫抑制細胞の抑制」という作用に対する特許も取得予定のため、グリオブラストーマ治療薬に対する特許による防御は盤石でな状況です。

 

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