メディシノバ『Covid-19ワクチンの開発競争(第1集団編)』

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<当記事は2020年8月5日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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メディシノバが開発を開始することを決定したCovid-19ワクチンですが、開発進捗度に関しては大きく出遅れています。

ワクチン開発をリードするフェーズ3突入の第一集団はファイザー(米国)とモデルナ(米国)とアストラゼネカ(英国)です。

米国だけでのエンロール数はファイザーとモデルナが3万人超、アストラゼネカが1万人超と非常に大規模なフェーズ3となっています。

そしてファイザーとモデルナのワクチンは共にmRNAワクチンであり、ファイザーはBNT162b2ワクチンを、モデルナはmRNA-1273ワクチンの効果を検証します。

もともとファイザーは3つのワクチン(BNT162b1 / BNT162b2 / BNT162b3)の効果を検証する予定でしたが、他のワクチンと比較してBNT162b2が優れた忍容性を示したことからBNT162b2のみを治験に用いることを決定しました。

両者のワクチンは共にCovid-19のスパイク糖タンパク質(Covid-19ウイルスの突起部分)に変化する核(mRNA)に若干の手を加え、脂質ナノ粒子に導入した一般的なCovid-19のmRNAワクチンです。

そのため、両者の効能には大差が無いと言われています。

アストラゼネカのウイルスベクターワクチンはAZD1222と名付けられています。

AZD1222の特徴はウイルスベクターワクチンでは難しいとされていた複数回投与による効能向上です。

そしてAZD1222は投与物であるアデノウイルスにCovid-19のスパイク糖タンパク質を形成する遺伝子を導入したものです。

上記からも分かる通り、これら3つのワクチンは全てCovid-19ウイルスのスパイク糖タンパク質への免疫を身体につけることによって、Covid-19の感染の防御を狙うワクチンです。

開発の成功確率を考察すると、最も可能性が高いと感じるワクチンがアストラゼネカのAZD1222です。

ファイザーのBNT162b2とモデルナのmRNA-1273を用いたフェーズ3治験ではプラセボ対比で評価することに対し、アストラゼネカの対比物はサノフィの髄膜炎菌ワクチンであるメナクトラ(日本製品名)です。

メナクトラは2020年4月に米国で承認されたワクチンであり(日本では2014年7月に承認)、上記3つのCovid-19ワクチン同様に全身反応(発熱、疲労、悪寒など)を引き起こします。

プラセボ投与ではその全身反応が引き起こされないため、プラセボ投与群はワクチンを投与されていないことに気づきやすく、プラセボ群の役割を全うすることが出来ません。

そのことはワクチンの効果測定に有利に働くことになってしまい、アストラゼネカはそれを良しとせず、より厳しい環境においてAZD1222の効果を評価することを決定しました。

この事実はアストラゼネカのAZD1222に対する自信とも捉えられます。

さらにAZD1222のフェーズ3治験はエンロール数が1万人と他2つのフェーズ3治験に比べて極めて少なく、かつ検証項目が多い同治験は統計的に有意な結果を得にくい状況です。

それにも関わらず1万人のプロトコルを決定したアストラゼネカはAZD1222の効能に対して強い自信を持っていると考えられます。

 

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