メディシノバ 2019年12⽉期決算説明会の総括(中編:NFLとALSバイオマーカー治験について)

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2020年2月20日、メディシノバは2019年12⽉期決算説明会の動画を公開しました。メディシノバ経営陣の生の声が聞ける機会のため、毎年注目度の高いイベントとなっています。

本記事では同説明会に対する私の印象を踏まえた上で総括をしたいと思います。また、読者の方からの本件に関するお問い合わせが非常に多いため、一部構成であったものを二部構成(場合によっては三部構成)にし、可能な限り早く公開したいと思います。

<過去の記事>

メディシノバ 2019年12⽉期決算説明会の総括(前編)

 

3.NFL(ニューロフィラメント軽鎖)の改善

神経細胞が何らかの原因で破壊されると、軸索から放出されるNFL(ニューロフィラメント軽鎖)。

このNFLの量が少ないほど、神経細胞の破壊が少ないことを意味します。反対にNFLの量が多いほど、神経細胞の破壊も多いことを意味します。

MN-166の進行形多発性硬化症フェーズ2b治験の追加解析として、脳脊髄液中と⾎漿中においてNFLの数値を時系列で見ていきました。

その結果、神経疾患SAE患者(SAE:重篤な有害事象)を除く再発を伴わない進行形多発性硬化症患者群において、NFLの脳脊髄液中の数値が改善されました。

サンプル数が合計約50名程であることや、血漿中ではNFL数値の改善が見られなかったことは懸念点ではあります。しかし、NFL数値は血漿中のものをサンプルで用いられることが多いため、脳脊髄液中のNFL数値の解析は今後の研究のため非常に意義のあることに感じました。

なお、メディシノバの公開資料において「NFl」とLが小文字のlで表記されています。文字認識にご注意下さい。

 

4.ALSバイオマーカー治験の結果

ALSバイオマーカー治験において、MN-166がALS患者におけるグリア細胞の活性化抑制に働いているかが分析されました。

感覚的にも統計的にもグリア細胞の活性化抑制に対して働いているという結果は出ませんでした。もちろん、良い結果が出れば出るほど株主としては嬉しいものですが、この結果を以てMN-166のALSに対する効果を否定することは短絡的です。

この話を進めていく前に、是非ともイブジラストの性質に関する以下の記事に目を通して下さい。

・該当記事:メディシノバ MN-166(イブジラスト)の性質

 

そもそもグリア細胞の働きはどの様なものかというと、神経傷害と神経保護に作用する両極端な物質を放出することです。これはグリア細胞内のミクログリアが活性化することで実行されます。

そのため、グリア細胞の活性化自体は悪いことではありません。病状悪化の原因となっているのは、活性化されたことで放出される神経障害を引き起こす物質の方です。

グリア細胞の活性化の状態でMN-166が神経障害物質の放出量を下げること、または神経保護物質の放出量を上げることが出来れば、MN-166はALSの治療薬として活躍出来ます。

 

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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