メディシノバ MN-166の開発状況とポテンシャル

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メディシノバが開発を進めるパイプラインの多くはプロジェクト名:MN-166(化合物名:イブジラスト)によるものです。まずは以下の図表「MN-166 パイプラインの市場規模と競合薬品」をご覧ください。

(図表:MN-166 パイプラインの市場規模と競合薬品 作成:SKブログ)

<米国年間市場規模に関する補足>
適応症ごとに取得できたデータの年度にバラツキがあります。比較する上では参考値としてご理解ください。


1.PMS
PMS患者はMS(多発性硬化症)患者の57.5%を占める。PMS市場規模2項目はそれぞれMS市場規模に57.5%を乗じて算出。

2.ALS
市場規模2項目はALS患者の患者数、年間治療費および処方箋薬にかかる費用から算出。

3.クラッべ病
治療費市場規模は1回あたりの入院手術費用とその患者数から算出。

4.DCM
治療費市場規模は1回あたりの入院手術費用とその患者数から算出。またDCM患者数はCSM(頚椎症性脊髄症)患者の0.004%を占める。

5.CIPN
CIPNは癌治療により副次的に発生するもののため、市場規模2項目を同等と仮定する。また、その薬価を疼痛薬費と同価格と仮定。CIPNは癌患者の30%で発生する。同2項目は疼痛薬費に癌患者数30%を乗じて算出。

6.メタンフェタミン / アルコール
病状の特性上、治療費市場規模は何らかの治療を受けた患者数に同症状のリハビリプログラムの料金を乗じて算出。

7.オピオイド
病状の特性上、治療費市場規模は何らかの治療を受けた患者数にブプレノルフィン薬による治療費を乗じて算出。

8.グリオブラストーマ
治療費市場規模はテモゾロミド薬による年間治療費に患者数を乗じて算出。

 

図表の理解を深めるため、茶色部分の項目について説明します。

パイプラインごとの適応症については図表に記載通りですが、皆さんご存知の通りイブジラストは抗神経炎症作用と神経保護作用を有するため、アルツハイマー病やパーキンソン病などへの効果も期待出来るのではと個人的に思っています。

それはメディシノバが2019年1月22日付けで公開したIR資料からも読み取れると思います。

・将来のアルツハイマー病やパーキンソン病に対する開発への含み
本特許の対象になるのは、ALS のほか、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、ハンチントン病、レビー小体病、運動ニューロン疾患、脊髄性筋萎縮症、脊髄症、外傷性脳損傷、脊髄損傷などを含む、広範囲の神経変性疾患です。

 

パイプラインの進捗状況を把握するには開発フェーズを理解する必要があります。最初は私もそうだったのですが、「P1→P2→P3→承認申請」のように単純に進むものと思っていました。

しかし実際は、同じフェーズを複数回行う場合もありますし、フェーズでポジティブな結果が出なかったとしても(治験の内容を変更して)再度治験を行うこともあります。

上記図表のメタンフェタミン適応症はP2でポジティブな結果が出ませんでしたが、内容を変えて再度治験を行うかもしれません。

米国年間市場規模の項目は治療費市場と処方箋薬市場の2つに区分しました。治療費は処方箋薬費用に病院に支払うその他の費用も加えたものと理解してください。

そして処方箋薬はその症状を治療するために処方された全ての医薬品を意味します。なお、症状によっては既存薬が存在しないためデータが取得できないものがあります。

市場規模に合わせ、症状ごとに2018年米国売上高の最も大きい治療薬について記載しました。

なお、症状によっては既存薬が存在しない、もしくは医薬品所有者がデータを公開していないためデータが取得できないものがあります。

図表からMN-166プロジェクトの価値の大きさを感じれるかと思います。特にPMS、ALSは他のパイプラインに比べ開発が進んでいるため、メディア等で取り上げられることが多いです。

私もこの2つには皆さんと同じく期待をしています。それに加え、アルコール依存症パイプラインにも非常に注目しています。治療費市場規模が大きいこともさることながら、治療薬が無いことも魅力的です。

私は適正株価についてコメントをすることがあまり好きではない。と一言添えた上で、参考までにお伝えします。

メディシノバのパイプラインと競合する既存薬を所有する企業という条件下で15社のデータ*の平均を採った場合、売上高の4倍が時価総額という結果が得られました。

その際の標準偏差は2.4倍、中央値は4.3倍という結果です。メディシノバがパイプラインの開発を成功させ、その売上が競合他社と同じと仮定した場合、データのある4つの適応症のみでメディシノバを100億USDを超える企業へと成長させます。

<注釈>
* データ取得日:2019年3月7日

 

<参考文献>
1.PMS
PMSの割合(Multiple Sclerosis: Facts, Statistics, and You)
市場規模-治療費、処方箋薬(Six cost drivers of multiple sclerosis)
2018年 売上高(Roche reports very strong results in 2018)
2.ALS
治療費、処方箋薬 / 患者数(The First ALS Drug In 22 Years Is Approved)
・2018年 売上高(Financial Results for year ended March 31,2018 / Financial Results for the First Nine Months of the Fiscal year ending March 31,2019
3.クラッべ病
治療費、処方箋薬(Payer Costs of Autologous Stem Cell Transplant)
・患者数(The portal for rare diseases and orphan drugs / 米国の出生数が減少、30年ぶり低水準
4.DCM
治療費(Is Surgery for Degenerative Cervical Myelopathy Cost Effective?)
患者数の割合(Current Diagnosis and Management of Cervical Spondylotic Myelopathy)
5.CIPN
CIPNの割合(Long-term chemotherapy-induced peripheral neuropathy among breast cancer survivors)
癌患者数(Cancer Statistics)
疼痛治療薬費(Cost of pain medication to treat adult patients with nonmalignant chronic pain in the United States. )
6.メタンフェタミン
治療費(Crystal meth rehab cost)
患者数(Crystal Meth Addiction Statistics)
7.オピオイド
治療費(How Much Does Opioid Treatment Cost?)
患者数(Emphasis is needed on both prevention and treatment)
2018年 売上高(Statement of changes in beneficial ownership of securities)
8.アルコール
治療費(Understanding the Cost of Rehab)
患者数(ALCOHOLISM & DRUG ADDICTION STATS IN THE UNITED STATES)
9.グリオブラストーマ
治療費(Treatment Patterns, Survival, and Healthcare Costs of Patients with Malignant Gliomas in a Large US Commercially Insured Population)
患者数(The cost and value of glioblastoma therapy)
2018年 売上高(Form 10K)

 

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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