メディシノバ『MN-166(イブジラスト)のアルツハイマー病等の神経変性疾患に対する新たな研究成果(ジャーナル:BBRC)前編下:オートファジー』

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メディシノバ『MN-166(イブジラスト)のアルツハイマー病等の神経変性疾患に対する新たな研究成果(ジャーナル:BBRC)前編上:異常タンパク質の凝集』

 

生化学および生物物理学を専門とする科学ジャーナルであるBBRC(Biochemical and Biophysical Research Communications)において、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に対するイブジラストの新たな研究成果が報告されました。

「MN-166(イブジラスト)のアルツハイマー病等の神経変性疾患に対する新たな研究成果(ジャーナル:BBRC)」の前編上では、TDP-43とSOD1の二種類のタンパク質が異常を起こし、その異常タンパク質の凝集が神経変性疾患の原因になると考えられていることから、イブジラストによる凝集した異常タンパク質の排泄促進効果を検証しました。

同タイトル前編下では、異常タンパク質の排泄がオートファジーによって行われることから、イブジラストとオートファジーの因果関係を検証します。

 

<用語解説>

・オートファジー

細胞内の自己構成成分(例えば、不要なタンパク質など)を分解する作用。

 

オートファジーとの因果関係を検証するため、本研究では微小管関連タンパク質であるLC3に焦点を当てています。

LC3はオートファジーの進行につれて発現量が増える特徴があり、オートファジーのマーカーとして用いられます。

オートファジーが作用であることに対し、その作用を直接的に実行する存在をオートファゴソームと呼び、オートファゴソームの始まりの物質の一つがLC3です。

また、LC3がオートファゴソームを形成するまでに2ステップの形態変化があり、それらはLC3 -ⅠとLC3 -Ⅱと呼ばれる物質です。

この2つの物質がオートファジーの一連の流れであることから、両物質が多いほどオートファジーが活性化していることが分かります。

 

<オートファジーの一連の流れ>

LC3 → LC3 -Ⅰ+ α → LC3 -Ⅱ+ β → オートファゴソーム
* α:Atg7 β:Atg5/12/16

 

<結果>

結果2:イブジラストはオートファジーを促進させます。

EGFP染色によりLC3 -ⅠおよびLC3 -Ⅱの規模を解析します(図表3)。

図表2Aではイブジラストがオートファジーの活性化につながるLC3 -ⅠおよびLC3 -Ⅱを増加させていることを示しています。

HEK293は本研究で用いた細胞の種類であり、本メルマガの内容において重要では無いので割愛します。

細胞の通常状態を意味するControl(左)では、無投与とイブジラスト投与に対して、LC3 -Ⅰでは変化が見られませんでしたが、LC3 -Ⅱではイブジラスト投与の方が多く検出されました。

オートファゴソームを形成するためにはLC3 -ⅡがLC3 -Ⅰより重要であるため、この結果はイブジラスト投与によりオートファジーが促進されたことを示します。

Starvation(中)はEBSS溶液を投与していることを意味します。

EBSSは細胞のオートファジー観測に用いられる試験薬であり、細胞のアミノ酸を欠如させることによりオートファジーを活性化させる作用があります。

同試験薬を投与したControl(中:Starvation)と無投与Control(左:Control)を比較することで、同試験薬がオートファジーを活性化していることを立証しています。

Bafi A1(右)はバフィロマイシンA1を投与していることを意味します。

バフィロマイシンA1はオートファジープロセス中のLC3 -Ⅱの分解を抑制する試験薬であり、同試験薬を投与した細胞におけるLC3 -Ⅱは無投与に比べて非常に増加します。

これは同試験薬を投与したControl(右:Bafi A1)と無投与Control(左:Control)を比較すると一目瞭然です。

さらに注目すべきはBafi A1投与におけるControlとイブジラストを比較し、イブジラストの方がLC3 -Ⅱの量が多いことです。

反対に、EBSS投与におけるControlとイブジラストを比較した場合では、イブジラストのLC3 -Ⅰの量に変化がないことです。

上記二項目に対しての考察は本論文では行っていませんが、私の考察としてはオートファジープロセスにおいて、LC3 -Ⅰは生み出す量を増やし、LC3 -Ⅱは分解を抑制することがオートファジー促進に繋がると考えています。

そのため、EBSS投与によって上限値に近いLC3 -Ⅰが生み出されたため、イブジラストを投与しても変化がなく、Bafi A1投与においてはイブジラストがそれを補完し、さらに分解抑制効果をもたらしたと考えます。

図表2Bでは488nmと561nmの周波数をHEK293へ照射し発光させることで、オートファゴソームとオートリソソームを検出します。

オートファゴソームを、オートファジーを直接的に実行する存在と説明しましたが、オートリソソームはオートファジーの最終ステップと理解していただいて構いません。

 

<オートファジーの一連の流れ>

LC3 → LC3 -Ⅰ+ α → LC3 -Ⅱ+ β → オートファゴソーム+リソソーム → オートリソソーム
* α:Atg7 β:Atg5/12/16

 

オートリソソームはオートファゴソームにリソソームが結合することで引き起こされます。

オートファゴソームが不要な自己構成成分を包むカゴだとすると、リソソームはそれを除去するための洗剤の様な役割を果たします。

そして、オートファジーはオートリソソームをもって完了となります。

図表2Bの488nm発光ではオートファゴソームが形成される前からオートファゴソームまでのステップが検出されます([ LC3 -Ⅱ+ β → オートファゴソーム]の区間)。

561nm発光ではオートリソソームが検出されます。

そして、488nm照射画像と561nm照射画像を重ね合わせた画像(Merge)において、赤と緑が重なっている部分(本論文では黄色と記載)がオートファゴソームとなります。

これはオートリソソームがオートファゴソームを必ず介すことが理由です。

図表Bの結果としては、無投与(Control)とイブジラスト投与を比べると、明らかにイブジラスト投与の方がオートファゴソーム、そして、オートリソソームの活性化が検出されました。

以上の図表2AとBより、イブジラストはオートファジーを活性化させると結論付け、イブジラストによる異常タンパク質の排泄を促進する一つの要因を立証しました。

 

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