メディシノバ 『筆頭株主 Essex Woodlands Management の投資戦略』

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<当記事は2019年3月15日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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ヘッジファンドによるメディシノバ株の持ち分が出揃った2019年12月31日以降、2020年に入ってからBlackRockと入れ替わる形で単体での筆頭株主となったのが、1,170,370株(占有率2.72%)のメディシノバ株を保有するEssex Woodlands Management(以下、「Essex」という)です。

なお、インデックス投資信託含むメディシノバ株保有数が最も多いのはBlackRockであり、最新のデータ(2019年12月31日時点)での保有数は2,835,590株(占有率6.46%)です。ちなみに、BlackRock自体での保有数は1,139,998株(占有率2.60%)です。

さて、Essexの全体像を見ていきましょう。

メディシノバの取締役会長でもあるJeff Himawanが所属するEssexは、1985年に設立された医薬品産業を専門とする投資法人です。

例えば、バークシャー・ハサウェイ、もしくは、ソフトバンクグループ参加のソフトバンクビジョンファンドという印象です。

これが指すところは、Essexはメディシノバをキャピタルゲイン狙いの投資としてではなく、将来のキャッシュフローを生み出す資産として保有していることを意味します。

そして、同社はヘルスケア産業に絞って投資をしていますが、具体的にはそれを四つのカテゴリー(医薬品、医療機器、ヘルスケアサービス、ヘルスケアIT)に区分しています。

四つのカテゴリーに該当する企業に投資を行う同社ですが、追加でいくつかの条件があります。

大まかには、1.収益の急成長が見込めること、2.キャピタルロスのリスクが低いこと、3.出口戦略の想定が出来ること、の三つが満たされていることです。

「1.収益の急成長が見込める」という条件により、医薬品カテゴリーの場合、自ずと売上が立っていない創薬ベンチャーが数多く該当することになります。

では、実際にEssexのポートフォリオを見ていきます。

Essexのポートフォリオは二種類に分かれます。一つがGrowth Equity(GE)と呼ばれるグループで、もう一方がLegacy Fund(LF)と呼ばれるグループです。

この二つのグループの相違に関して同社へ問い合わせを行いましたが、返答を得られていないため具体的に何が異なるのかは不明です。

しかし、LFの担当者が組入企業の取締役を専任していることから、多少の例外はあるにせよ、GEはよりキャピタルゲインを狙った投資ポートフォリオ、LFはより将来キャッシュフローを狙った投資ポートフォリオだと判断出来ます。

添付ファイル(GE.png / LF.png)において各ポートフォリオ構成企業の「企業名、上場コード、組入年、株価(組入日)、株価(2020年2月末)、カテゴリー、主要な対象疾患 / 主要な事業、担当者」をご確認頂けます。

カテゴリーにつきましては上記四つのカテゴリーではなく、より詳細な業態別でカテゴリーを区分しました。

そして、メディシノバがどちらに該当しているかというと、Jeff Himawan氏がメディシノバの取締役会長ということから分かる通り、LFに組み入れられています。

よって、Essexはメディシノバを将来キャッシュフローを生み出す企業として投資をしています。

同社はメディシノバの設立時に$174,769,500(単価:$149 / 現在相当:1,170,370株)を出資しています。余談ですが、その額は2020年3月11日時点でのメディシノバの時価総額$144,615,000を上回っています。

また、2020年1月1日以降に買い増しを行ったEssexは、一企業あたりへの投資上限額$200,000,000をおそらく超えてメディシノバへ投資しているものと推測されます。

以上より、Essexのメディシノバに対して想定する企業価値は我々が思っている以上に高く、時価総額で考えるに$1,000,000,000(≒1,000億円)は少なくとも見込んでいるでしょう。

なぜなら、メディシノバの設立時の資本金は$1,005,000,000であり、その額を基準にEssexはメディシノバへ投資を行ったからです。

 

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