メディシノバ『コロナウイルスとMN-166(イブジラスト)の重症肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)適応の関係性』

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<当記事は2019年3月13日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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メディシノバが2020年3月10日に公開した資料「重症肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象としたMN-166(イブジラスト)の開発開始に関するお知らせ」において、岩城社長は「インフルエンザやコロナウイルスの世界的流行を考慮すると、重症肺炎やARDSなどへの効率的で安全な治療法を開発することは非常に重要です。

MN-166 は、その抗炎症作用と ARDS 動物モデルスタディの良好な結果に基づき、重症肺炎および ARDS患者の治療に大きな可能性を秘めていると考えています。(抜粋)」とコメントを残しました。

同資料に関して、数名のSKメルマガご購読者よりコロナウイルスの治療薬としての注目が集まるかと質問を受けましたが、MN-166(イブジラスト)の長年の歴史において抗ウイルス作用は認められていないため、コロナウイルス治療薬として注目を浴びることは無いでしょう。

イブジラストと同様の気管支治療薬であるシクレソニドがコロナウイルス治療薬となる可能性についてメディアが話題に上げましたが、これはステロイド系のシクレソニドが抗ウイルス作用も持つ化合物であると発見されたからであり、イブジラストの作用とは無関係です。

しかし、重症肺炎やARDSはウイルスによっても引き起こされる疾患のため、コロナウイルスの治療法として、抗ウイルス剤と併用してイブジラストが用いられる可能性は捨てきれません。

また、今回の開発は、メディシノバ経営陣がコロナウイルスという世間が注目する媒体に対して言わば「乗っかった」のではないかというご質問も頂きましたが、私はそうは思いません。

その根拠となることが、統計的に有意な結果を得られた本ARDS治療の評価項目である「肺水腫の改善(p <0.001)」と「炎症性サイトカインが用量依存的に有意に低下(TNF-α[p <0.001]、IL-1β[p <0.001]、IL6[p <0.001]、MCP-1[p < 0.001])したことにより、炎症反応を抑制したこと」の二項目です。

<用語>

・サイトカイン
細胞間相互作用に関与するタンパク質。作用や放出細胞は多種多様。

・TNF-α
腫瘍壊死作用を有するサイトカイン。

・IL-1β
免疫、炎症を制御するサイトカイン。

・IL6
液性免疫を制御するサイトカイン。

・MCP-1
免疫調節や炎症プロセスに関与するケモカイン。

まず同二項目の解説をします。

肺水腫は心臓の疾患によって引き起こされる心原性肺水腫と、心臓疾患以外で発症する非心原性肺水腫の二つに区分され、肺胞内へ水分が漏出することにより呼吸困難を引き起こします。

また、同資料のケースでは後者の非心原性肺水腫を意味しており、肺炎・敗血症・重症外傷などが主な原因です。

そして「肺水腫の改善(p <0.001)」とあるのは、イブジラストを投与した場合、呼吸困難が改善することを意味します。

その理由となる部分が「炎症性サイトカインが用量依存的に低下したことにより、炎症反応を抑制したこと」です。

メディシノバは長年、イブジラストによる炎症性サイトカインの抑制効果を主に神経細胞を対象としたものと見てきましたが、今回の非臨床試験では神経細胞だけでなく、肺胞または肺胞を支える組織である間質の炎症を抑える効果も検出しました。

さらに、その効果の信頼度も統計学的に満点の結果を得ることが出来ました。

これはメディシノバが長い時間を掛けてイブジラストの効果を検討した結果であり、これはコロナウイルスが世界に広まってから行ったのでは時間が短すぎます。

よって私は、今回のMN-166の重症肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を適応とする新パイプラインはコロナウイルスが理由ではなく、もともと開発を検討していたものであると推測します。

 

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