メディシノバ『新型コロナウイルス感染によるARDS治療薬に対するMN-166の競合開発品(炎症抑制作用)』

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<当記事は2020年5月3日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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2020年4月18、19日に日本経済新聞社が掲載した「新型コロナ治療薬、開発急ピッチ 世界で治験650件」において、新型コロナウイルス治療薬の主な候補が掲載されました。

 

<日本経済新聞社に掲載された主な新型コロナウイルス治療薬>

1.レムデシビル(ギリアド社)- ウイルス複製阻害
2.アビガン(富士フィルム)- ウイルス複製阻害
3.アクテムラ(ロシュ)- 炎症抑制
4.ケブザラ(サノフィ等)- 炎症抑制
5.カレトラ(アッヴィ)- ウイルス拡大阻害
6.クロロキン – 炎症抑制
7.ヒドロキシクロロキン – 炎症抑制
8.アジスロマイシン – タンパク質合成阻害
9.シクレソニド(帝人ファーマ)- 炎症抑制
10.ナファモスタット – タンパク質分解阻害
11.免疫グロブリン(武田薬品等)- 血液免疫

上記11医薬品の中でMN-166(イブジラスト)の競合となりそうな医薬品は炎症抑制作用を持つ3.アクテムラ(ロシュ)、4.ケブザラ(サノフィ等)、6.クロロキン、7.ヒドロキシクロロキン、9.シクレソニド(帝人ファーマ)となります。

3.アクテムラ(ロシュ)、および、4.ケブザラ(サノフィ等)はIL-6受容体阻害薬です。

IL-6は液性免疫を制御する炎症性サイトカインであり、IL-6受容体と結合することにより免疫応答が作動します。

*免疫応答:外来性および内因性の異物を抗原と認識し、特異的に応答して行われる生体防御反応。

 

炎症と聞くとネガティブな意味に捉えられることが多いですが、炎症はあくまで免疫応答の結果であるため、適度な免疫応答による適度な炎症は生体防御の上で必要です。

しかし、IL-6がIL-6受容体と結合出来ない場合、この免疫応答が作動されません。

そして、上記医薬品はIL-6とIL-6受容体の結合をブロックする作用であるため、免疫応答が作動しない仕組みとなります。

よって、免疫力が低下するため、感染症リスクが常に付きまといます。

同医薬品の主要な副作用は上気道感染であり、重大な副作用として感染症や間質性肺炎等が認められています。

以上より、3.アクテムラ(ロシュ)および4.ケブザラ(サノフィ等)の投薬は諸刃の剣となります。

6.クロロキン、および、7.ヒドロキシクロロキンは、そのメカニズムがはっきりとは分かっておりませんが最も有力な説が免疫抑制です。

具体的にはオートファジーと呼ばれる新陳代謝のプロセスに影響を及ぼすことで、免疫抑制を実現しているとされています。

免疫抑制以後の解説は3.アクテムラや4.ケブザラと同様ですが、一番の違いは作用が免疫抑制か免疫阻害かです。

同剤は免疫抑制作用のため、3.アクテムラや4.ケブザラ程の感染症リスクはありませんが、こと6.クロロキンに関しては極度の心臓負荷により治験中の患者に死亡者が続出していることです。

ブラジルでは81名の患者に6.クロロキンを投与するも、11名の患者が死亡したため治験中止となりました。

なお、6.クロロキンと7.ヒドロキシクロロキンは類似構造を持つ別物ですが、その作用は類似しており、概略としては、クロロキンの効力を抑えたものがヒドロキシクロロキンと私は認識しております。

9.シクレソニド(帝人ファーマ)は炎症性サイトカインであるIL-4とIL-5の産生を抑制します。

また、腫瘍壊死作用を有するサイトカインであるTNF-αの産生も抑制することから、炎症性サイトカインの産生抑制という意味で、MN-166に最も類似した作用を持つ医薬品です。

しかし、同医薬品は有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者に対しての投与が禁忌とされていることからも、上記にあげた医薬品同様に新型コロナウイルス治療薬として安全性に懸念があります。

そのため、同医薬品では新型コロナウイルス感染症の無症状・軽症患者に対して治験が行われています。

以上より、炎症抑制作用による新型コロナウイルス関連治療薬として、感染リスクおよび治療効果(炎症抑制)のバランスが最も取れた医薬品がMN-166(イブジラスト)であることがお分かり頂けると思います。

なお、MN-166の薬効については2020年03月18日に配信された当メルマガ、または、SKブログ「メディシノバ MN-166(イブジラスト)のARDS動物モデルスタディの解説」をご参照下さい。

メディシノバ MN-166(イブジラスト)のARDS動物モデルスタディの解説(総括編)

 

<MN-166の新型コロナウイルス治療競合医薬品の開発状況>

・3.アクテムラ(ロシュ):フェーズ3治験準備中(2020年04月10日現在)
・4.ケブザラ(サノフィ):フェーズ2/3治験実施中(2020年04月09日現在)
・6.クロロキン(ブラジル医学財団):フェーズ2治験中止(2020年04月11日現在)
・7.ヒドロキシクロロキン(マサチューセッツ総合病院):フェーズ3治験実施中(2020年04月07日)
・9.シクレソニド(帝人ファーマ):小規模治験実施中(2020年4月3日現在)

 

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