<投資家Q&A-047>メディシノバ 現状に対する著者の見解(後編・下)

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メディシノバの現状に対する著者の見解についてご質問を頂きました。

また、質問事項が多岐に渡るため、前編(上下)、後編(上下)と計4回に分けて回答差し上げたいと思います。

なお、「<投資家Q&A-044>メディシノバ 現状に対する著者の見解(前編・上)」、「<投資家Q&A-045>メディシノバ 現状に対する著者の見解(前編・下)」、「<投資家Q&A-046>メディシノバ 現状に対する著者の見解(後編・上)」はタイトル記事のリンクからご参照下さい。

 

<質問(一部抜粋・修正あり)>

⑥ 小生は常々【導出・提携】が長きにわたり何故契約に結び付かないのか?を考えるようになり、その大きな原因は、

1 MN-166の適応症特許が多岐にわたる事

2 適応症が多岐に及んでも特許期間は変わらない事

3 MN-166は適応症毎の切売り導出が出来ない事

4 残された特許期間を考慮した時、導出先企業としてはペイするのか?

5 4を考えた時にMN-166が本当に導出先企業が欲する価値のある物なのか?

と、自問自答しておりました。

小生は、メディシノバの行っている事は間違いなく大きな意義のある事であるとの認識は何ら変わってはいませんが、導出先は企業です。

企業は利益を追求するもの、であるならば貴殿が述べられている3点は導出先企業としては至極当然の事と思いますし、小生が自問自答していたこととも合致します。

前置きが長くなり申し訳ありませんでした。

下記に付きお心をお聞かせ下さいませ。何卒よろしくお願い申し上げます。

上記5に付きお願い致します。貴殿のお心をお聞かせ下さいませ。

 

<回答>

⑥ MN-166が本当に導出先企業が欲する価値のある物なのかと聞かれれば、私は間違いなく価値のある物とお答えします。

米国における進行型多発性硬化症(PMS)治療薬を例にとってみると、既に上市しているRocheのOcrevus(一次性PMS・二次性再発ありPMS)、NovartisのMayzent(二次性再発ありPMS)、MerckのMavenclad(二次性再発ありPMS)に比べて、MN-166(イブジラスト)は市場独占生や新興リスク減少度の項目において非常に高い競争力を持っています(図表1)。

(図表1:MN-166の優位性 作成:SKブログ)

図表1の補足として、一次性PMS治療薬として有名なOcrevusですが、FDA(米国食品医薬品局)からは二次性再発ありPMSに対しても承認を受けています。

また、Ocrevusは治験期間2年間では統計的な有意差(p <= 0.05)は得られず、期間を3年間に延長した経緯があります。

Mayzentに至っては初期設定のエンロール数では統計的な有意差(p <= 0.05)は得られず、エンロール数を増やした経緯があります。

治験で統計的な有意差を得ることに関して、より少ない人数で、より短い期間で、結果を出すことは難易度が高いです。

そのことを考えると、RocheおよびNovartisは各々の治療薬に対して「思ったほどの結果は出なかった」と感じているでしょう。

MN-166に対しては一次性・二次性含めたPMSのエンロール数は700人程度で統計的な有意差を出せると見込んでおり、二次性再発なしPMSに限ってはさらに少ないエンロール数で結果を出せると予想出来ます。

年間売上に関して、米国多発性硬化症患者の10%を占める一次性PMSの治療薬であるOcrevusは、2018年に米国において売上高$2,080,000,000を計上しました。

二次性再発なしPMSは多発性硬化症患者の67.5%を占めるため、MN-166の進行型多発性硬化症を適当とする用途特許の期限が残り9年間(延長が認められれば残り14年間)となった現在でも、米国年間売上は$14,040,000,000(= ¥ 1,523,796,300,000 *2020年2月3日 $1 = ¥ 108.5325)を見込め、上市まで今から4年間を要するとしても残余額で$70,200,000,000(5年間の延長が認められた場合は$140,400,000,000)の価値があります。

<算出方法>

米国年間売上 = Ocrevus 2018年米国売上高$2,080,000,000 × 二次性PMS占有率 67.5% / 一次性PMS占有率 10.0%

 

上記算出法は非常にポジティブなものですが、「残された特許期間を考慮した時、導出先企業としてはペイするのか?を考えた時にMN-166が本当に導出先企業が欲する価値のある物なのか?」というご質問に対しては、PMSパイプラインのみの考慮でさえ、YESと回答させて頂きます。

 

<参考文献>
MN-166の優位性について(メディシノバ 進行型多発性硬化症適応の既存薬品とMN-166(イブジラスト)の優位性)
多発性硬化症患者の区分(<投資家Q&A-004>メディシノバ Rocheとメディシノバの多発性硬化症に関する公表データについて)
Ocrevus 2018年米国年間売上高(メディシノバ MN-166の開発状況とポテンシャル)

<調査銘柄の概要>
4875 : メディシノバ / MNOV : MediciNova
住所 : (日本支社)東京都港区西新橋1-11-5-5F / (本社)4275 Executive Square, Suite 300, La Jolla, California
電話番号 : 03-3519-5010 / 1-858-373-1500
HP : https://medicinova.jp / https://medicinova.com

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