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2.事業進捗リスク
メディシノバは設立年の2000年から2007年までを除き、非常に事業進捗が遅い状態となっています。
理由は単純明快であり、メディシノバは常に金欠状態だからです。
これは、2019年度末までの累積欠損金$369,072,945の大部分を2007年度までに消費してしまったことが原因であり、設立後のスタートダッシュを盛大に失敗してしまった形です。
これにより、メディシノバは事業を継続するにあたり実質的に2つの選択肢から1つを選ぶ状況に陥りました。
増資による資金調達によって事業を継続する方法か、助成金によって事業を継続する方法か、です。
当時のメディシノバは株価が低いこと、そして、パイプラインの進捗状況がフェーズ2a以下だったこともあり、増資に対して否定的でした。
そのため、結局は助成金頼みの事業戦略を選択した形になりましたが、助成金による開発スピードは非常に遅く、パイプラインの有効性が明るみとなった今を考えると、増資によって痛みを伴っていたとしても、今の機会損出を考えると増資を行っていた方が良かったと思います。
特にMN-166の進行型多発性硬化症適応パイプラインは自社開発でサクサクと進めていれば、上場廃止リスクや機会損出の対応にもっと余裕を持って取り組めたはずです。
しかし、2020年度が始まって2ヶ月が経った今、のんびりとしていた進捗状況に動きが見られました。
最も注目した点が2020年12月19に発表された資料「2019年12月期 決算説明会資料」において、ALSフェーズ2b/3治験「COMBAT-ALS (ALS2301)」の開始の報告があったことです。
ALSフェーズ2b/3治験が開始されたことはもとより、ここからメディシノバと導出先との間で、少なくともMN-166のALSパイプラインに対する交渉が概ねまとまったことが推測出来ます。
また、推測されるALSパイプラインに関する契約内容は、メディシノバが導出先に対して欧州および米国を除くその他地域での販売ライセンスを付与するに限るということです。
MN-166のALS治療薬は単体での特許に加え、ALSに対して良好な結果を得ているリルゾールとの併用療法による特許が備わっています。
そのため、長期的かつ安定した売上計上の可能性が最も高いALS治療薬の契約を、契約一時金やマイルストーン偏重ではなく、売上ロイヤリティ偏重にしたと推測します。
2020年度の事業進捗の最大のテーマはやはり「MN-166の導出」であり、懸念点としては依存症パイプラインの扱いが上げられますが、それを踏まえたとしても「事業が一向に進まない」という事業進捗リスクは十分に後退したはずです。
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