メディシノバ『ClinicalTrials.govにおけるMN-166の進行型MSフェーズ2b治験のアップデート』

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<当記事は2020年07月31日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

<当記事はSKブログへの転載ルール「同内容がメールマガジンで配信された日にちから10日以降」に基づき掲載されます。>

 

ClinicalTrials.govにおいてMN-166の進行形多発性硬化症(PMS)フェーズ2b治験のアップデートが2020年7月28日に投稿されました(アップデートは2020年7月13日に完了)。

・Safety, Tolerability and Activity Study of Ibudilast in Subjects With Progressive Multiple Sclerosis
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/results/NCT01982942?term=ibudilast&draw=2&rank=11

 

同件に関して多数の読者様より解説のご依頼を頂戴しましたので、当メルマガを通じて回答差し上げればと思います。

今回のアップデートは2020年5月8日以来のものであり、具体的にはこれまで同サイト上で公開されていなかった治験結果の詳細が開示されました。

同結果の詳細で注意すべき点が全脳萎縮進行度の項目です。

我々が得ていた情報は「MN-166の進行型多発性硬化症を適応とするフェーズ 2b 臨床治験(SPRINT-MS)に関して学会発表内容のお知らせ- イブジラストは全脳萎縮進行度を有意に抑制(48%)、安全性・認容性も良好 - 」でも記載されている通り、プラセボ対比でMN-166が全脳萎縮進行度を48%抑制したという事実です。

しかし、今回のアップデートでは全脳萎縮進行度の抑制が57%とされ、MN-166がより大きな効果を発揮している事実が認められます。

この結果のズレは単位期間が1年間(52.14週間)または96週間と異なる基準にしたことが原因です。

我々が得ていた全脳萎縮進行度の48%抑制の結果は1年間単位で見た結果です。

そして今回のアップデートによる全脳萎縮進行度の57%抑制の結果は96週間単位で見た結果です。

1年間単位で見た場合、MN-166の全脳萎縮は-0.00105、プラセボでは-0.00202となり、これを96週間単位に変換すると、MN-166が-0.00193、プラセボが-0.00371となります。

この値は同アップデートの96週間での全脳萎縮(MN-166 = -0.00168、プラセボ = -0.00392)に比べ、MN-166がより全脳萎縮を抑制し、プラセボがより全脳萎縮が促進したという結果に繋がります。

岩城社長がMN-166について「ジワジワと効いてくる」と仰っておりました。

そして、ハザード比に関してもオクレリズマブの75%やメイゼントの79%に比べてMN-166の74%は相対的に顕著な効果を示せていませんが、より長期間(PMSは数十年にもかけて進行します)で比較した場合はその差は広がると考察していました。

なお、無再発二次性PMSではハザード比54%となり、顕著な効果を示しています。

話を戻しますと、今回の96週間の期間でより大きな効果が示せたという点は前述した岩城社長の考察が的を射てることを後押しします。

PMSの全てのタイプを対象にした解析で全脳萎縮進行度を57%抑制(96週間)出来たことを踏まえると、シミュレートしたハザード比もさらに向上すると考えられます(特に無再発二次性PMSに絞った場合、その向上幅は顕著であると推測されます)。

最後に、同じく1年間単位で解析した結果をニューイングランドジャーナルで論文を公表しています。

・Phase 2 Trial of Ibudilast in Progressive Multiple Sclerosis
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803583

 

この論文中にも年間での脳萎縮値がMN-166とプラセボにおいてそれぞれ-0.0010、-0.0019と記載されています。

この結果を踏まえるとMN-166は脳萎縮進行度を年間53%抑制することになり、同じ期間にも関わらず上記48%とは異なります。

これは解析の際に設定する信頼区間が異なるからです(同アップデートが90%、同論文が95%の信頼区間)。

信頼区間の意味を野球のバッティングに例えると、信頼区間が大きいほどヒット量産を狙う高安打低本塁打率なイチロー選手タイプ、信頼区間が小さいほどホームランを狙う低安打高本塁打率な清原選手タイプです。

信頼区間は扱う用途によってその値を設定しますが、より一般的な値は95%であり、医薬品承認の可否に対しても95%の信頼区間を用います。

よって、一年間の単位期間で見る場合は95%の信頼区間で解析をしているニューイングランドジャーナルの解析結果を参考にした方が良く、MN-166の効力は年間53%の脳萎縮進行度の抑制と認識した方が宜しいと思います。

以上が今回のアップデートの重要な部分と考察になります。

同件はMN-166による無再発二次性PMSの開発に対して非常に期待が持てるポジティブなアップデートとなりました。

 

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