メディシノバ『NASDAQバイオテック企業の財務データを用いたメディシノバ株価の統計分析(主成分分析:後編)』

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<当記事は2020年10月25日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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前回の主成分分析:前編ではバイオテック企業全体のデータを用いた分析を行いましたが、本記事ではフリーCF(キャッシュフロー)におけるクラスター分析にて区分されたメディシノバが属するクラスター2を分析します。

(図表1.分析結果:クラスター2 作成:SKメルマガ)

フリーCFクラスター2の8つの財務データ項目(資産、負債、株主資本、事業CF、投資CF、財務CF、現金残高、フリーCF)を主成分分析により分析すると、同8項目を3つの項目(X、Y、Z)で表すことが可能です。

(図表2.第1主成分 作成:SKメルマガ)

全体の44%を説明する第1主成分は「資産」「負債」「株主資本」「投資CF」の4項目で構成され、貸借対照表+投資CFと置き換えることが出来ます。

フリーCFクラスター2は開発進捗が停滞しているクラスターであること、そして、貸借対照表と投資CFが比例関係にある主成分のため、私は同主成分を選択と集中によって事業戦略のスリム化をした後の、次の開発ステップに関する財務基盤の成熟度に関わるものと考えました。

よって同主成分を「財務基盤の未熟度(プラスほど未熟であり、マイナスほど成熟)」と定義づけます。

(図表3.第2主成分 作成:SKメルマガ)

全体の28%を説明する第2主成分は「事業CF」「財務CF」「現金残高」「フリーCF」の4項目で構成されています。

ここで最も注目すべきは「事業CF」と「財務CF」が比例関係にあることです。

バイオテック企業ではこの2項目が反比例になることが多く、正比例であることは自力による大きな売上を計上することに繋がります。

それは例えば、規模の大きい導出契約をまとめたり、営業費用以上の売上を計上するような薬剤の開発に成功したなど、バイオテック企業が望む事業の波に乗れていることを意味します。

よって、第2主成分を私は「事業プランの乖離度(プラスほど事業プランから乖離し、マイナスほど事業プランに近い事業を営んでいる)」と定義します。

(図表4.第3主成分 作成:SKメルマガ)

全体の23%を説明する第3主成分は「事業CF」「財務CF」「フリーCF」の3項目で構成されます。

同主成分は単純であり、事業CFと財務CFが反比例関係であり、財務CFがマイナスであることは事業が好調であることを意味します。

よって、第3主成分を「稼ぐ力(プラスほど稼ぐ力が強く、マイナスほど稼ぐ力が弱い)」と定義します。

以上をまとめると、第1主成分は「財務基盤の未熟度」、第2主成分は「事業プランの乖離度」、第3主成分は「稼ぐ力」を表現します。

続いて3つの主成分をペアごとに傾向を見ます。

以下図表5〜7は第1主成分:第2主成分,第1主成分:第3主成分、第2主成分:第3主成分の主成分スコアのプロット図です。

(図表5.主成分1:2 作成:SKメルマガ)

図表5の第1主成分:第2主成分では3グループに分けられます。

全52社の内、49社もの企業が緑枠内に集合しています。

その内の35社が財務基盤が未熟であり、事業プランの乖離もあることが分かります(X,Y > 0 に該当)。

また、財務基盤が成熟しプラン通り順調に事業を営めている企業は2社しかありませんが、同2社はバイオテック企業の殻を破り製薬企業へと順調に歩みを進めている企業です(黄色枠)。

赤枠に囲われた1社は財務基盤は成熟しているものの、プラン通りに事業が進められていない企業です。

その性質上、事業が進捗するにつれて黄色枠のグループへと進化していくと予想されます。

なお、図表5でのメディシノバが属するグループは緑枠グループです(第1主スコア:第2主スコア = 0.283:-0.498)。

(図表6.主成分1:3 作成:SKメルマガ)

図表6では第1主成分の財務基盤の成熟と第3主成分の稼ぐ力のスコアをプロットしています。

同図表では5つのグループに分けられ、最もバイオテック企業として魅力のある企業は赤枠で囲まれている企業です(Ligand Pharmaceuticals Incorporated)。

また、バイオテック企業の性質上稼ぐ力を保持することが何よりも難関であることから、青グループもバイオテック企業として好ましい状況下にいると考えられます。

なお、図表6でのメディシノバが属するグループは緑枠グループです(第1主スコア:第3主スコア = 0.283:0.545)。

(図表7.主成分2:3 作成:SKメルマガ)

図表7では第2主成分の事業プランの乖離度と第3主成分の稼ぐ力のスコアをプロットしています。

事業プランからの乖離が少なく、稼ぐ力もある赤枠がバイオテック企業の目指す所であり、同グループに属する企業は3社あります。

なお、図表7でのメディシノバが属するグループは緑枠グループです(第2主スコア:第3主スコア = -0.498:0.545)。

以上より、メディシノバは3つの主成分の全てのスコアにおいて際立った特徴のない平凡な状況にあることが分かりました。

さて、本結果よりメディシノバの時価総額がバイオテック企業の中で果たして正当な評価を受けているのか、それとも受けていないのかを、次回以降の重回帰分析へと活かすことで見出していこうと思います。

 

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