メディシノバ『導出前後におけるメディシノバ株運用戦略』

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<当記事は2020年4月5日にSKメルマガで配信されたコンテンツです。>

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メディシノバの株主様の中にはMN-166(イブジラスト)の導出が保有理由となっている方が沢山いると思います。

私も購入当時はその一人であり、MN-166の進行型MS(多発性硬化症)パイプラインの導出交渉の可否を以て全ての株式を売却する予定でした。

しかし、進行型MSのフェーズ2b治験が終了し、導出交渉が長引いている間に、MN-166の他のパイプラインやMN-001のパイプラインに大きな進捗が見られました。

それにより、メディシノバ株の運用戦略に修正を加えました。

まず意識の修正です。

当初の進行型MSパイプラインの導出を以て同社株を売却する意向は、事業の段階を区切りとしたものでした。これはバイオベンチャーの価値評価が難しいことに起因しており、かつ、進行型MSを除く同社のパイプラインが直近でもフェーズ2a以下までの結果しか見込めなかったからです。

しかし、現在では3本のフェーズ3パイプライン(進行型MS・ALS・DCM)を保有し、進行型MSやALSに対するMN-166のデータも数多く出揃ったため、事業段階での区切りを止め、価値評価での保有戦略に意識を移しました。

価値評価の保有戦略に意識を移した後、重要になってくるのは適正な企業価値の算出です。

DCF法を用いた一般的な企業価値の精度は、時価総額が大きく出来高が多い企業の方が高く、時価総額が小さく出来高が少ない企業では、その算出された企業価値の信頼性は著しく低いことは否めません。

これはDCF法の前提となる将来キャッシュフローの予測が、前者に該当する企業の方が後者に比べるとより容易であることが理由です。

さらに、メディシノバの場合はバイオベンチャーでもあるため、より企業価値評価が難しいことが理解出来ると思います。

そのため、メディシノバに対する価値評価においては一般的なDCF法による企業価値評価は意味をなさず、同社の現状に対して参考となる事例に沿った評価を自身で考え出さなくてはなりません。

メディシノバの現状はMN-166の導出を前提とした事業戦略を取っていることです。よって、同社の企業価値算出はMN-166パイプラインの導出額を算出することとほぼ同意です。

そして、MN-166パイプラインの導出額を算出する上で以下の三つの事例を参考にしています。

<MN-166パイプラインの導出額参考事例①>
・形態:導出
・年度:2017年
・企業:Principia
・適応と開発状況:再発寛解型MS(フェーズ1)/ 中枢神経系疾患(非臨床)
・導出額:$805,000,000

<MN-166パイプラインの導出額参考事例②>
・形態:買収
・年度:2014年
・企業:Receptos
・適応と開発状況:再発寛解型MS(フェーズ3) / 潰瘍性大腸炎(フェーズ2) / 好酸球性食道炎(フェーズ2) / クローン病(フェーズ1) / 免疫疾病(非臨床) / 糖尿病(非臨床)
・買収額:$7,200,000,000

<MN-166パイプラインの導出額参考事例③>
・形態:導出
・年度:2020年
・企業:Sangamo
・適応と開発状況:アルツハイマー(非臨床)/ パーキンソン病(非臨床)/ 神経筋疾患(非臨床)/ 神経疾患(非臨床)× 9
・導出額:$2,720,000,000

まず、適応症の市場規模とフェーズごとの開発リスクを主な要因とし、MN-166の導出額を推定しました(事例①、②)。その結果、推定導出額は約40億ドルとなりました。

続いて、治療薬の参入障壁と成功可能性を主な要因とし、MN-166の導出額を推定しました(事例③)。その結果、推定導出額は約31億ドル〜44億ドルとなりました。

結果として似たような導出額が算出されたことから、40億ドル前後を見込み導出額と設定しました。

この見込み導出額により算出される一株あたりの株価が、「現在〜導出契約締結」期間におけるターゲット株価となり、それは10,880円〜11,968円となります。

そして、同ターゲット株価を下回っている状況下ではメディシノバ株を売却することはせず、保有し続けることが「現在〜導出契約締結」期間における戦略とします。

「導出契約締結後」に至っては、導出契約の内容、特にその契約金が最も重要になります。

想定通り約40億ドルであれば、上記ターゲット株価の10,880円〜11,968円が継続して基準値となり、その額を下回る状況であれば保有継続、上回る状況であれば売却を検討します。

ここで初めて売却の選択肢が生まれてきますが、これは導出契約移行の売上発生イベントが当分起こらないと考えるからです。

契約締結後、メディシノバは数年にわたる開発期間に突入するため、同期間の終わりが近づいてからでも購入の検討は十分間に合うと感じています。

対象的に、導出額が推定値からズレた場合です。

この場合はMN-166パイプラインの価値に対する値付けが終わっているため、将来キャッシュフローによる事業価値評価の上、推定株価の算出を行う必要があります。

しかし、創薬企業における将来キャッシュフローによる事業価値評価は信頼性に欠ける側面があること、さらに上記の通り、メディシノバが導出契約期間から開発期間に移行することからも、売却が優先される選択肢となります。

よって、実際の導出額からメディシノバ株の適正株価を推定し、その推定株価を基準とした売却戦略を取ることが「導出契約締結後」の戦略になります。

導出契約額から適正株価を推定することは、導出契約額を推定することに比べると非常に容易なため、導出額が現時点での推定額40億ドルからズレた場合は、即時に適正株価を算出し、ご購読の皆様と共有致します。

 

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